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2025.07.30 17:30

ノボノルディスク株が「過去40年で最悪」の下げ幅、肥満症治療薬の販売鈍化見通しで

Jakub Porzycki/NurPhoto via Getty Images

Jakub Porzycki/NurPhoto via Getty Images

肥満症治療薬のウゴービや糖尿病治療薬のオゼンピックなどを製造するノボノルディスクの株価が、米国時間7月29日の取引で一時21%以上下落し、1980年代に記録した最大の下げ幅に迫る水準となった。これは、同社が通年の売上高と利益の見通しを下方修正したこと、および米国における肥満症治療薬の成長が鈍化すると予測されたことが背景にある。

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ノボノルディスクの株価は米国東部時間午前10時50分時点で約21%下落し、約54ドルの値をつけた。この下落率は、2002年4月に記録した19%の下げを上回るものであり、1984年10月に記録した23%の下げ幅に迫る水準である。

同社は29日、2025年の通年売上高成長率の見通しを、従来の13%~21%から8%~14%へと引き下げた。また、利益成長率についても、従来の16%~24%の見通しを10%~16%に引き下げた。

ノボノルディスクは、米国市場における予想を下回る市場拡大のペース、および競争の激化、さらに代替薬の継続的な使用により、ウゴービおよびオゼンピックの売上成長が鈍化すると予測している。

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ノボノルディスクが安全性や合法性に欠けると主張する、患者ごとに調整されて製造されるジェネリック医薬品「コンパウンド医薬品(compounded drug)」について、米食品医薬品局(FDA)は4月22日までにこうした販売業者への対応を取ると示唆していたが、実際には今も販売が継続していると同社は主張している。

同社は、連邦および州の規制当局と法執行機関による強力な介入がなければ、患者が模倣薬による重大なリスクにさらされるとし、深い懸念を表明している。

ノボノルディスクは、第2四半期の決算を8月6日に発表する予定である。

同社は29日、マジアール・マイク・ドゥースダーが新たなCEOに就任すると発表した。前任のラース・ヨルゲンセンは5月に突然退任していた。ドゥースダーの就任は、8月7日付で発効する。彼はこれまで、国際事業部門の副社長を務めており、同部門は彼の指揮下で2024年に売上高が2倍以上に増加し、およそ173億ドル(約2兆5600億円)に達したとノボノルディスクは述べている。

コペンハーゲンに本社を置くノボノルディスクの株価は、年初来で37%下落している。これは、オゼンピックおよびウゴービのコンパウンド医薬品の流通拡大と競合の激化が影響している。同社製品の供給不足を受け、FDAはオゼンピックとウゴービの模倣薬を薬局で調剤・販売することを一時的に認めていた。また、その期間中は同局が対応を取らない方針も示されていた。

しかし現在、FDAはそれらの肥満症治療薬の供給不足が「解消された」として、それらを不足リストから削除している。それにもかかわらず、FDAが承認していないコンパウンド医薬品が依然として市場に出回っていると同社は主張しており、FDAに対してオゼンピックおよびウゴービのコンパウンド医薬品を全面的に禁止するよう要請している。

FDAは、これらのコンパウンド医薬品が安全性、有効性、品質に関する同局の要件を満たしていないことに「複数の懸念」があると表明している。最近ではオゼンピックの模倣薬の流通に関する警告も出しており、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛といった副作用の可能性にも言及している。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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