「トゥルース・ソーシャル」の運営に関わる前、クリス・パブロフスキーはポルノドメインを所有していた。しかし、彼は現在、そうしたサイトを禁止しようとする政治運動と手を組んでいる。
トランプ大統領の「MAGA(米国を再び偉大に)」ムーブメントは、かねてより奇妙な組み合わせの同盟によって成り立ってきた。一方には、女性への欲望を露骨な言葉で語り、未成年の性的人身売買で有罪判決を受けたジェフリー・エプスタインと「美しい女性」に関する共通の趣味で親交を持っていたトランプ自身がいる。
他方には、女性と2人きりで食事を取ることは不適切な行為につながると考える敬虔なカトリック教徒のマイク・ペンス前副大統領(その後MAGA運動から事実上追放)や、自身のネットの閲覧履歴を「Covenant Eyes」という監視ソフトを使って17歳の息子に送ることで、ポルノを見ないようにしていると語ったマイク・ジョンソン下院議長のような宗教保守派がいる。
ポルノをめぐっては特に、MAGAの内部でも緊張がある。J.D.バンス副大統領は、政府によるポルノの禁止を求めている。同様に、トランプ政権と深いつながりを持つ保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」、「プロジェクト2025」の主導者であり現在トランプ政権の行政管理予算局(OMB)局長を務めるラッセル・ボートも禁止を支持している。ヘリテージ財団のある法律研究員はポルノを「悪魔的」とまで表現している。
「トゥルース・ソーシャル」の中心的プレイヤーとアダルト業界での過去
しかし、トランプ大統領に近い人物で、彼のSNS事業の中心的プレイヤーの1人は、成人向けエンタメ業界について異なる見解を持っていたようだ。動画プラットフォーム「ランブル」のCEOで、かつてビリオネアだった創業者のクリス・パブロフスキーは、2003年から2013年までの約10年間、PornoBrokers.com、LustyMaids.com、MilfMansion.comなどアダルトサイトを保有する企業「Jokeroo」を設立・運営していた。
パブロフスキーが所有していたドメインのいくつかは、彼の保有期間中にオフラインだったと見られる。しかし、インターネット・アーカイブの記録によれば、パブロフスキーが登録していた少なくとも1つのサイト「CanadianClit.com」は、彼の所有期間中に「教会の盗撮」や「いやらしい隠しカメラ画像」「ホットな裸の女子大生」といった広告を掲載していた(その広告は、彼が所有していない他のサイトへリンクされていたと見られる)。
動画プラットフォーム「ランブル」の成功とトランプ陣営への接近
パブロフスキーは、米国右派に人気のオルタナ系動画プラットフォーム「ランブル」の設立を経て、MAGA運動の寵児となった。J.D.バンスが設立したベンチャーキャピタル「ナリヤ」は、2021年に共和党の大口献金者、ピーター・ティールと共にランブルの資金調達を主導した。それと同時期にランブルは、スティーブン・クラウダー、デイリー・ワイヤーなど右派寄りのインフルエンサーやメディアと高額の契約を結んでいた。2022年には、現FBI副長官のダン・ボンジーノの番組がランブルで最も人気のコンテンツになっていた。
そして2021年、パブロフスキーはトランプ支持の技術者グループの一員として「トゥルース・ソーシャル」の設立に携わった。彼は、このSNSのCEO就任への打診も受けたが、最終的に断ったと、このSNSを相手取って起こされた裁判の証拠資料に記録されている(この訴訟で裁判所は、同SNSが投資家との契約に違反したと認定した)。パブロフスキーはその後、ランブルのクラウドおよび広告事業、彼が共同創業したアウトソーシング企業「コズミック・ディベロップメント」を通じて、トゥルース・ソーシャルにサービスを提供する道を選んだ。


