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2025.08.02 09:15

獣医師の7割が反対。子犬のペットショップ販売が問題なワケ 

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海外では、動物福祉の観点からペットショップでの犬や猫の生体販売を禁止する国が増えているが、日本では対応が遅れている。ペットショップで展示される子犬には多大なストレスがかかっているばかりか、健康リスクも高い。それだけではない。日本独自の子犬の流通システムにも大きな問題がある。

日本では、子犬の多くがペットショップを通じて飼い主のもとに届いている。ペットショップには、ブリーダーから直接卸される子犬もいれば、ペットオークションを経由してくる子もいる。これは日本独自の流通システムだという。それが子犬に多大な負担を与えているわけだが、犬を食い物にする悪質な業者が入り込む隙も作ってしまっている。そこで、日本の子犬の流通の実態について、動物福祉に本気のブリーダーマッチングサイト「Breeder Families」は、獣医師1009人を対象にアンケート調査を実施した。

それによると、ペットショップやオークションを経由して販売されることに反対する獣医師は70.6パーセントとなった。

こうした流通システムが子犬に与えるリスクをたずねると、約8割の獣医師が、長距離移動による体の負担、何度も環境が変わることによる強いストレス、狭い環境に閉じ込められることによる発育への悪影響、ひとりぼっちでいる時間が長いことによる社会化の不足を指摘している。社会化とは、犬同士や犬と人間との良好な関係を築くために必要な幼年期の成長過程だ。

獣医師の今本成樹氏によれば、ペットショップやオークションでは感染症や寄生虫のリスクも高まるとのこと。またペットショップでは1頭ずつ展示されることが多く、子犬同士で遊ぶ機会がないため社会性が身につかず、問題行動につながることがあるという。さらに、適切に飼える環境が整っていない、犬を飼う知識がない状態で衝動買いされてしまう危険性もあると指摘している。

犬を飼うには手間も時間もお金もかかる。そうと知らずに買って、飼いきれずにペットショップに戻したり、保護犬団体に引き渡したり、なかには保健所で殺処分させる心ない飼い主も少なくない。

理想的には、優良なブリーダーから直接買うことだ。また優良なブリーダーは、大切な子犬を任せられる人かをよく見てから売るかどうかを決めるので、ペットショップには卸さないのが普通だ。ただし、「優良」とされていてもじつは悪質なブリーダーもいるので、よく見極めることが重要だとBreeder Familiesは助言している。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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