当然、家に仕事を持ち帰ることになる。4割に近い教員がほとんど毎日「持ち帰り残業」をしている。
「働き方改革と言いつつ、結局は個人に任されているのが現実」と訴える50代女性は、無駄を省くこと、早く帰ることばかりが推奨されるという。その結果、持ち帰りの仕事が大量に発生し家族との時間が持てない。「教員になった以上、自分の幸せはあきらめるしかない」と嘆いている。

休日に仕事をする教員も約9割。授業以外の作業が非常に多く、そもそも8時間で処理できる仕事量ではないという。公立学校の教員には、原則として残業代が出ない。そのため教職調整額として月給の4パーセントが支給される。2026年から少しずつ引き上げられ最終的には10パーセントになる予定だが、そもそもこの制度が1972年に制定されて以来ずっと4パーセントだったことも嘆かわしい。
そんな教師たちがいちばん辛く感じているのは、保護者からの理不尽なクレームだった。また、授業の準備ができないなど、教育の本筋に集中できない状況も辛いという。それでも教員を辞めない理由は、「子どもの成長」だという。約7割が、子どもの成長を見る喜びや授業の楽しさをあげている。そうした教員たちの子どもを思う善意に依存しきっているのが、日本の教育現場の実態だ。これがいつまでも続くとは思えない。


