コックスのチームは、アーティストたちに途切れることなく仕事を発注しなくてはならない。例えば、セレブシェフのマーカス・サミュエルソンが手掛けるレストランの壁画や、法人顧客から注文される会議の出席者向けのギフトバッグ作りなどを行っている(現地の文化を反映したお土産を500人分用意したいとBMWから依頼されたときには、地元の職人たちはアシスタントを雇用したり、生産能力を見直したりすることによって、生産量を大幅に増やした)。
2025年10月に開催予定のBahamas Culinary & Arts Festival(バハマ・カリナリー&アート・フェスティバル)もまた、同様の役割を果たすことになると考えられている。3年目を迎えるこのフェスティバルで行われるアートイベント「FUSE Art Fair」は、現在も地元で活動するアーティストだけではなく、国外に移住したすべての地元出身のアーティストに活動の場を提供する。それは、リゾートが地域のハブとして果たす役割を、より強固なものにするだろう。
コックスは、リゾートは「ニーズを維持できるエコシステムを構築」し、「産業を創出している」と語る。アーティストが需要に対応するために活動の幅を広げ、アシスタントを雇い、生産能力を高めるために投資を行えば、それは真に自立的な「創造経済」の構築を実現することにつながるはずだ。
深まるコミュニティの絆
流行に敏感で、活気にあふれるカナダ・トロントのダンダス・ウェストにある客室わずか10室のOde Toronto(オード・トロント)は、「根本的なホスピタリティとしての親密さ」という独特の気風を体現するホテルだ。
「ホテルがひどいアートを飾っていることに、うんざりしていた」というティファニー・ラムズビックがきょうだいとともに開業したそのホテルの客室に飾られている絵画の大半は、カナダのBIPOC(バイポック:黒人・先住民・有色人種)コミュニティ出身のアーティストの作品だ。
また、オーダーメイドで制作された地元の職人によるハンドメイドの家具は、ホテルのデザインの一部となっている。「アートを中心に設計」されているというオード・トロントには、「インスタ映え」するホテルに泊まりたいという多くの人たちが、世界中から訪れているという。


