テルミットはこれら以外にも、もう少し地味な任務をいろいろとこなせる。たとえば、通信の中継機や電子戦の機材としても活用できるし、ウインチ(巻き上げ機)を装備してほかの車両を回収したり、負傷者らを収容して後送(こうそう)したりもできる。こうしたさまざまな用途を想定してテルミットは設計されている。
Video from Tencore of a TerMIT UGV from Ukraine's 92nd Assault Brigade recovering another Ukrainian UGV.https://t.co/J1yV9lbdOs pic.twitter.com/VzGSxKbDL5
— Rob Lee (@RALee85) June 29, 2025
「テルミットは前線からの要望に基づいた戦術的なコンセプトとして始まりました」とバシリチェンコは説明する。「最初の動作可能な試作機は、手に入る材料を使って数週間で開発しました。初期の実地試験を行ったあと、戦闘部隊と緊密に協力しながら、設計や制御システム、運用上の役割の改良を図りました」
テルミットは、多種多様な任務に対応できるようモジュラー式にする必要があった。また、頑丈で、運搬しやすく、戦場での修理も容易で、低コストの量産に向いていることも必須だった。
しかし、キッチンテーブルの上でも組み立てられ、必要な予算もわずかで済むFPVドローンに比べ、地上ロボットははるかに大きな投資が必要になる。そして、この点こそが大きな問題になり得る。
カギを握る資金
ウクライナは軍事イノベーションの非常に大きな促進役としてよく知られ、とりわけドローンシステムの分野では世界をリードしていると言っていいだろう。だが、国外からの投資資金を求めているウクライナ企業は、さまざまな理由で壁にぶつかっている。
「どこから話せばいいのでしょう」と自問するのはMITSキャピタルのペリー・ボイルCEOだ。MITSは「Military Innovation Technology Solutions(軍事イノベーション技術ソリューション)」の略で、同社はウクライナの防衛産業に投資資金を呼び込む目的で2024年に設立された。「ウクライナへの投資はまずもって、ウクライナのことを本当に信じている人でなければ無理です」
ボイルはウクライナへの投資の障害になっている要因を列挙する。確実な投資リターンが見込めないこと、ロシアのミサイル攻撃を受ける可能性もある工場の戦時保険に絡む問題、輸出が制限され、現状では事実上ウクライナ軍が唯一の顧客であることなどだ。さらに、ウクライナの銀行から運転資金を十分に得られないこと、西側の銀行がウクライナの防衛企業に融資しないことも課題になっている。


