
金星の生命:VERVE探査計画
VERVE探査計画は、直方体の形状をした小型人工衛星キューブサットほどの大きさの無人探査機で構成される。VERVEは2031年に打ち上げ予定の欧州宇宙機関(ESA)の無人周回探査機EnVisionに相乗りして金星に向かう予定だ。
推定費用5800万ドル(約86億円)のVERVEは、金星到着時にEnVisionから切り離され、独自に大気の調査を実施する。主な探査目的は、ホスフィンやアンモニアなどの水素に富むガスの存在と分布をマッピングすることだ。
グリーブスは「これらのガスが豊富に存在するのか微量なのか、ガスの発生源が、惑星の表面に火山噴出物などの形で存在するのか」あるいは「大気中に何かがあるのかなどを確かめることができると期待している。大気中に何かあるとすれば、金星の雲に含まれる酸を中和するためにアンモニアを生成している微生物かもしれない」と述べている。
金星の生命:論争
ハワイ島マウナケア山頂にある電波望遠鏡のジェイムズ・クラーク・マクスウェル望遠鏡(JCMT)による金星大気の分子含有量の調査を目的とするJCMT-Venus観測プロジェクトの一環として、ホスフィンは最初に検出された。この発見は、大きな論争を巻き起こした。その後、ホスフィンガスの存在は時間と場所によって変わることが、研究者によって確かめられた。日中に消失する場合が多いことは、太陽光によって分解されることを示唆している。JCMT-Venusプロジェクトを率いる英インペリアル・カレッジ・ロンドンのデイブ・クレメンツは「このことは、一見矛盾する研究結果のいくつかを説明できるかもしれない。二酸化硫黄(SO2)や水のような他の化学種の多くの存在量が様々に異なることを考えると、これは驚くべきことではなく、ホスフィンがどのように生成されるかを知る手がかりを最終的に与えてくれる可能性がある」と述べている。
金星の生命:背景
金星の表面温度は450度前後だが、高度約50kmでは気温が30度ほどで、気圧も地球の表面と同じくらいになる可能性がある。このように温暖な雲の層の内部には「極限環境」微生物が繁栄しているかもしれないと考えられる。
これらのガスが生物活動の兆候なのか、もしくは未知の化学反応の存在を示しているのかどうかについては専用の探査機しか答えを出せないと、研究者は指摘している。


