AI

2025.08.01 10:00

創薬の常識を覆す日本の「非生成AI」、研究者が見逃していた膵がん新薬候補を発見

フロンテオの代表取締役社長、守本正宏氏

生成AIは大量のデータから情報を抽出する技術だが、前述したように生成AIが導き出す結果にはその根拠となる具体的な作用機序が明示されない。生成AIは「それらしい確率が高い情報」を並べているに過ぎず、そこに根拠を示すことができないためだ。

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しかし創薬において「なぜこの分子が効くのか」そのメカニズムや根拠が明確でなければ、人間の研究者が薬臨床試験や承認プロセスに進むことは難しい。

これに対し、フロンテオが開発したDDAIFは膨大な医学論文データを解析し、人間の研究者が行う仮説構築や推論のプロセス、判断基準などを模倣する。その処理プロセスの中で、分子を選択する理由、その作用機序、関連する疾患情報を明確に示し、その科学的根拠を研究者に提供することができる。

このため、臨床研究やその後の医薬品開発プロセスにおいて非常に有用なツールとなる。

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「非連続的発見」がもたらす新規標的

DDAIFには別の特徴もある。それは「非連続的発見(disruptive discovery)」を有することだ。生成AIでは、既存の研究成果を積み上げ、複数の論文にまたがってつながる事実を探索する「連続的な発見」は効率化できるが、未知の連続性がない情報を結びつけることはできない。

これに対して非連続的な発見は、ごく限られた人間の研究者が持つ「ひらめき」に頼らざるを得なかった。最先端の創薬において最も求められているのが、「恵まれたセレンダビリティ」というのは皮肉なものだが、実はDDAIFにはこの非連続的発見能力がある。

DDAIFで使われているAI技術は、「KIBIT」というリーガルテックAI向けに開発された技術をもとにしている。KIBITは多様な種類、メッセージの交換や入出金履歴など情報の海の中から、弁護士などが発見する新しい情報へとつながるきっかけ、種のようなものを発見するAIだ。

必ずしも連続性がある必要はなく、膨大な情報の流れを読み取って、怪しいと思われる動きを察知する。これは人間の弁護士や捜査官が行う判断基準や思考経路を学習させているためで、これを創薬の研究者に置き換えて3500万報あると言われる医学論文から、非連続的発見をもたらす。

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編集=安井克至

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