就職活動における学生の価値観が根本的に変化している。good luck株式会社が就職活動を行う大学生・大学院生102名を対象に実施した調査によると、68%の学生が「どのような会社に入るか(就社)」よりも「どのような仕事に就くか(就職)」を重視していることが明らかになった。従来の「会社への帰属」を前提とした就職観から、「個人のキャリア形成」を軸とした新たな働き方への転換が鮮明に表れている。

「個人主導」のキャリア形成が7割
注目すべきは、キャリア形成の主体についての認識だ。自分のキャリアを形成する上で近い考え方を聞くと、68.9%の学生が「個人が主体的にキャリアプランを考え、会社を選ぶ・活用する」と回答した。「会社がキャリアパスを用意し、それを利用していく」を選んだ学生は23.3%にとどまり、企業依存型から自律型へのキャリア観の大転換が起きていることがうかがえる。

この結果は、終身雇用制度の崩壊や転職の一般化といった労働市場の変化を背景に、学生たちが早い段階から「会社に頼らない」キャリア形成を意識していることを示している。
入社後のミスマッチ防止に必要なのは「具体性」
入社後のミスマッチを防ぐために企業から提供される最も重要な情報と考えられているのは「具体的な職務内容(日々の業務、プロジェクト内容など)」で34.0%を占めた。同率で「職場の雰囲気、チーム構成、上司や同僚の人柄」も34.0%となり、学生たちが抽象的な企業イメージではなく、働く現場のリアルな情報を求めていることがわかった。
続いて「給与、福利厚生、労働時間・労働条件の詳細」(10.7%)、「その職務におけるキャリアパス(昇進、異動の可能性や条件など)」(9.7%)、「その職種で求められる具体的なスキルや経験」(7.8%)が挙がったが、数値的には大きく引き離されている。

これは給与などの条件面よりも、日常の業務内内容や人間関係といった「体験の質」を重視する傾向を表している。ひとつの解決方法として、入社時に配属と職務内容・年収が確約される「ポジション確約採用(ジョブ型採用)」があるが、学生からは「ポジション確約求人を行っている企業がどこかわからない」(37.9%)、「求人情報が様々な場所に散らばっていて探しにくい」(24.3%)といった声が寄せられ、具体的な情報への渇望が表れている。
従来の採用手法への限界
今回の調査が示すZ世代の就職観は、「まず会社に入って、配属は後で決まる」という日本の伝統的な新卒採用システムに根本的な見直しを迫るものだ。実際、仕事を選ぶ上で「その会社自体の魅力」と「その会社で自分のスキルや専門性を活かして何ができるか」のどちらが重要かと聞いたところ、ほぼ半々という結果になった。

「失われた30年」を見て育った世代にとって、就職先選びは「企業そのもの」ではなく「個人をどう活かせるか」という軸に移りつつあるのかもしれない。
【調査概要】
調査名:就活生のキャリア観に関する調査
調査対象:就職活動を行う大学生・大学院生 102名
調査期間:2025年7月3日~2025年7月21日
調査方法:Webアンケート



