2025.08.17 14:15

マリーナベイ・サンズ「超高級リゾート開発」 20年先を見据えた投資の全貌

マリーナベイ・サンズの隣に新たな超高級リゾートが誕生する。(C)Marina Bay Sands

マリーナベイ・サンズの隣に新たな超高級リゾートが誕生する。(C)Marina Bay Sands

シンガポールは2025年8月、建国60年の節目を迎える。それに先駆け7月15日、同国のアイコンとなったマリーナベイ・サンズが今後20年を見据えてつくる新たな超高級リゾートの建設の起工式が行われた。

7月15日に行われた起工式の様子
7月15日に行われた起工式の様子(C)Marina Bay Sands

マリーナベイ・サンズの構想がスタートしたのは2005年のこと。当時低迷していた観光客数の増加を目指したシンガポール政府が、IRの導入を決意し、IRライセンスの1つがラスベガス・サンズ社に与えられた。その後のめざましい観光の発展はよく知られるところだ。

今回の新たな超高級リゾート開発の着工は、マリーナベイ・サンズの成功を祝い、新たな20年に向けて、再びラスベガス・サンズとシンガポール政府、官民共同のチャレンジとなる。起工式の壇上で、シンガポールのローレンス・ウォン首相は「20年前に今の繁栄の保証はなく、我々はリスクをとるチャレンジャーだった」と当時を振り返った。

新たな開発の目玉は2つある。一つ目は超富裕層に向けたスイートのみ、全570室の高級ホテル。もう一つは1万5000席規模のアリーナだ。

起工式の壇上では、シンガポールの有名タレントを起用したイメージムービーが上映されたほか、ラスベガスさながらのパフォーマンスなども行われ、経済力一辺倒ではなく、地元発信のコンテンツ力があり、エンターテイメントの拠点として、海外スターがアジアツアーをする際のハブとなれる力があることも発信した。

モシェ・サフディ氏(右端)、COOのパトリック・デュモン氏(中央)
ジャロン・ルービン氏(左端)、モシェ・サフディ氏(右端)、COOのパトリック・デュモン氏(中央)(C)Marina Bay Sands

筆者の取材に対し、ラスベガス・サンズの社長兼最高執行責任者(COO)のパトリック・デュモン氏は、「マリーナベイ・サンズが成し遂げたことに非常に満足しております。我々は、シンガポールで15年間活動し、長期的な投資を行っています。5年、10年、20年という長期的なサイクルで物事を考えており、シンガポールの観光市場を信じています。我々は、ここに投資できる機会をいただけたことにとても感謝しています」と語った。さらに「今回の開発を行うための権利として20億米ドルを支払っています」付け加えた。

マリーナベイ・サンズの敷地は約19haなのに対し、今回の開発では6分の1以下の広さしかないが、その狭さを逆手に取り、限られた人しか訪れることができないエクスクルーシブ感を表現していくという。

デュモン氏は、今後の富裕層を惹きつけるには、1. 他とは全く異なった体験、2. ソーシャルメディアで受けるデザイン、3. ユニークでフレッシュであることの3要素が重要だと考えており、屋上の展望台「スカイループ」は、それらを兼ね備えたこれまでにない体験型のものを目指す。

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文・写真(一部)=仲山 今日子

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