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2025.07.31 08:30

国内スタートアップ買収件数は高水準を維持、SaaS・AIが牽引

国内の成長産業及びスタートアップに関する幅広い情報を集約・整理し、検索可能にした情報プラットフォーム「STARTUP DB」は7月30日、「【2025年 上半期】国内スタートアップ投資動向レポート」を公表した。国内スタートアップエコシステム全体の資金調達トレンドから、エクイティなど調達手法別の傾向、それにIPO・M&AなどのEXIT状況などを俯瞰し、数字とともに浮き彫りにしたもの。本記事では、同レポートをもとに、EXIT環境に焦点を当て、M&A事例やセクター別の買収額推移について解説する。

EXIT概況

IPOと買収の件数について、2025年上半期時点での状況を整理した。なお、EXIT件数には合併や事業譲渡は含まれていない。

25年上半期のIPO件数は21件となり、金利上昇やマクロ経済環境の不透明感により、IPO市場は引き続き冷え込んでいる。さらに、25年4月に発表された東証グロース市場の上場維持基準の見直しが、実質的に上場基準の引き上げに繋がっており、上場是非の判断を慎重にする要因となっている。こうした環境を踏まえると、下半期においてもIPO件数の停滞が続く可能性が高いと予測される。

一方、買収件数は25年上半期で92件に達し、引き続き高水準を維持している。

近年、スタートアップの間でM&Aを明確なEXIT戦略として捉える動きが広がっている。買収元の属性別に集計した結果、買い手はスタートアップ自身が買収側に回るケースも増えていることが明らかになった。また、今後はこれまでIPOを主要な目標としていたスタートアップにおいても、上場維持基準の改定を背景に、ミドル期の前からM&AによるEXITを視野に入れる動きが一層加速すると見込まれる。

IPO・M&A事例

2025年上半期に上場を果たしたスタートアップの中で、時価総額初値が300億円を超えたのは2社だった。

●ダイナミックマッププラットフォーム
全国の高速道路と自動車専用道路の「高精度3次元点群データ」を提供するスタートアップ。同社は3月に上場し、初値時価総額は361億円となった。今後はさらに自動運転や先進運転支援システムの発展に合わせた国内外での市場拡大や、高精度3次元データの用途拡大、技術的優位性の強化に力を入れていく予定。

●デジタルグリッド
電力取引プラットフォーム「Digital Grid Platform」の運営を行う東京大学発スタートアップで、4月に上場を果たした。法人を中心に電気代を抑えたいという需要が高まっている中で、これまではパートナー企業経由で顧客を増やしてきたが、今後は蓄積した顧客データを生かして戦略的な営業をしていく方針。

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文=STARTUP DB

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