国連サミットでSDGs(持続可能な開発目標)が採択されてから10年が経過した。2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標として、17のゴールと169のターゲットから構成され、「誰一人取り残さない」ことを誓っている。言葉としての浸透は進むものの、帝国データバンクが実施したSDGsに関する企業アンケートの結果が、その実情を浮き彫りにしている。
それによると、自社におけるSDGsへの理解や取り組みについて聞いたところ、「意味および重要性を理解し、取り組んでいる」企業は前年比0.5ポイント増の30.2%と、2020年の調査開始以降で最高を記録した。一方で「意味もしくは重要性を理解し、取り組みたいと思っている」企業は同1.7ポイント減の23.1%に留まった。この2項目を合わせた『SDGsに積極的』な企業は1.2ポイント減の53.3%となり、調査開始以来、初めて前年を下回る結果となった。

一方、「SDGsを認知しつつも取り組んでいない」企業は、「言葉は知っていて意味もしくは重要性を理解できるが、取り組んでいない」と「言葉は知っているが、意味もしくは重要性を理解できない」の合計で、前年比0.9ポイント増の41.8%を占める。
昨年「SDGsの意味もしくは重要性を理解し、取り組みたい」とした企業のうち、今年の調査で取り組んでいると回答した企業は23.7%。対して「SDGsを認知しつつも取り組んでいない」企業は28.4%と、一部でSDGsへの取り組み姿勢が後退した企業があることが示唆される。
SDGsへの取り組みに積極的でなくなった企業からは、「現状では当社に余裕がない」「ハードルが高い」といったコメントが寄せられた。
前回調査で「SDGsを認知しつつも取り組んでいない」と回答した企業の7割以上が、今回の調査でも同様の回答をしている。企業からは「取り組むことによる明確なメリットが不明」「理念ばかりが先行し、日本の既存の考え方や習慣と乖離がある」といった意見も聞かれた。
一方で、積極的な企業からは、「不確実性の高い現代において持続可能性は非常に重要」「幅が広く難しいが、一つずつ取り組みたい」といった前向きな声も聞かれた。



