経済・社会

2025.07.29 08:45

日米関税交渉、なぜ合意文書が作られなかったのか それがトランプ氏

2025年7月19日、大阪で開催中の2025年国際博覧会の米国ナショナルデーに、スコット・ベッセント米財務長官(左)と赤沢亮正経済再生担当相(右)が米国館に到着し、フォトセッションで握手を交わした。(Photo by Tomohiro Ohsumi/Getty Images)

トランプ氏は2日、ベトナムのトー・ラム共産党書記長と会談した後に、関税交渉で合意したと明らかにしたが、電話協議に交渉団は参加していなかった。米メディアによれば、ベトナム側はトランプ氏の一方的な「合意」発表に驚きを隠さなかったという。

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複数の関係者によれば、日米の過去の関税交渉では、様々な品目や税率、投資金額が飛び交っていたという。相互関税に関して言えば、15%よりも高い税率が課される可能性もあったようだ。逆にトランプ政権からみれば、20日に行われた参議院選挙で自民党が大敗し、石破茂政権の先行きが不透明になったことへの懸念もあったとみられる。交渉が立ちいかなくなる事態を考え、ラトニック氏らは「このあたりでトランプ氏の裁可を仰ごう」と考えたのかもしれない。

赤沢氏らの行動はやむを得なかったと思うが、これで問題が解決したと安心するのは早計だろう。ベッセント氏も日米合意を四半期ごとに見直し、トランプ氏が不満を示せば、相互関税の税率を25%に引き上げる考えを示している。そもそも、トランプ氏は2019年9月に第1次政権で、自らが安倍晋三政権と結んだ日米貿易協定を無視している。いつまでも「相手がトランプだから仕方がないよね」と言ってばかりもいられない。

また、トランプ政権が終わっても、「米国ファースト」を唱えて、トランプ氏と同じような主義主張の指導者が続くことも考えられる。日本がただちに、日米同盟を破棄することは現実的な選択肢ではないが、徐々に「プランB」の選択肢を増やす動きが出てくるかもしれない。

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文=牧野愛博

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