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2025.07.29 09:00

テスラとサムスン、「約2.4兆円規模」の半導体調達を契約 サムスン株は大幅高

Brandon Bell/Getty Images

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テスラCEOのイーロン・マスクは、韓国のサムスン電子が米テキサス州に建設中の半導体工場から次世代AIチップを調達する契約を結んだと、米国時間27日深夜に発表した。契約総額は165億ドル(約2.45兆円)にのぼり、業績が低迷するサムスンの半導体事業にとって大きな追い風となる。

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テスラの次世代AI6チップの製造に専念

マスクはX(旧Twitter)への投稿で、「サムスンの巨大な新工場が、テスラの次世代AI6チップの製造に専念することになる」と述べ、「この件の戦略的重要性は言い尽くせないほどだ」と強調した。

マスクの発表に先立ち、サムスンは韓国での規制当局向け報告書の中で、「グローバルな大手企業」との間で165億ドル(約2.45兆円)の契約を締結したと発表していた。

この複数年にわたる契約は2033年末まで継続される予定であり、サムスンのテキサス州テイラーにある半導体製造工場は2026年の稼働開始が予定されている。

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続く投稿でマスクは、テスラとサムスンは「製造効率の最大化に向けて協力」することに同意したと述べたが、それが工場立ち上げへの支援を意味するのかについては明言しなかった。

マスクはまた、サムスンの工場が「自宅からそれほど遠くない便利な場所にある」と述べ、みずからが生産ラインの現場を歩き、「進捗を加速させる」と語っている

テスラのAIチップとは?

マスクによれば、現在テスラはサムスンから「AI4」と呼ばれる半導体の供給を受けている。これは以前「HW4.0」もしくは「Hardware 4」と呼ばれていたもので、テスラが独自に設計したという。AI4チップは、同社の電気自動車(EV)に搭載されているオートパイロット機能の中核を担う存在だ。

AI5チップはTSMCが製造を担当

またマスクは、テスラがAI5チップの設計を完了しており、これについてはサムスンにとって最大のライバルであるTSMCが製造を担当することも明らかにした。AI5チップはまず台湾で生産が始まり、後にTSMCのアリゾナ工場でも製造される予定である。

先月、マスクはこのチップの名称がHW5からAI5に変更されたと発表し、AI5を搭載したテスラ車は、HW4搭載車の約10倍の性能を持つと主張した。テスラは、自社チップの画像処理能力の高さを繰り返しアピールしており、レーダーやLiDARといったセンサーに頼らず、カメラのみで自動運転を実現しようとする同社独自のアプローチを強調している。

今回の発表を受け、韓国取引所に上場するサムスンの株価は一時6.83%高の約7万400ウォン(約7744円。1ウォン=0.11円換算)の値を付けた。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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