国内の成長産業およびスタートアップに関する幅広い情報を集約・整理し、検索可能にした情報プラットフォーム「STARTUP DB」は7月30日、「【2025年 上半期】国内スタートアップ投資動向レポート」を公表した。国内スタートアップエコシステム全体の資金調達トレンドから、エクイティなど調達手法別の傾向、それにIPO・M&AなどのEXIT状況などを俯瞰し、数字とともに浮き彫りにしたもの。本記事では、スタートアップの資金調達概況、2本目はEXIT環境に、3本目ではセクター別の資金調達と従業員数に焦点を当て、同レポートにもとづく解説を3本連続でお届けする。
2025年上半期の国内スタートアップの資金調達額は速報値で3810億円となったことがSTARTUP DBの調査で分かった。前年同期比では微減となったが、予測値を含めて見ても依然として大きな変化は見られず、調達環境は概ね横ばいの状態が続いている。
また、EXITの動きをみると、IPO件数は低調な状態が続いているが、買収件数は増加傾向で、引き続き、M&Aの活況に注目が集まっている。
調達環境について

スタートアップの資金調達金額・調達社数の推移をまとめた。これは新株を発行するエクイティファイナンスや融資・社債などのデットファイナンス、それに補助金やクラウドファンディングなど、複数の手法による調達の合計値となる。
2025年上半期の資金調達金額は速報値で3810億円(前年同期比26.2%減)、予測値で4711億円となり、資金調達社数は速報値で1209社(前年同期比24.7%減)、予測値で1469社で、金額・社数ともに予測値を含んでも大きな変化はなかった。

また、資金調達を「エクイティ」と「その他」に分類した。「その他」はデットファイナンスや新株予約権付融資・社債などのベンチャーデット、それにクラウドファンディングや補助金などを含んでいる。
25年上半期のエクイティファイナンスは速報値で3284億円(前年同期比17.4%減)、実施社数は速報値で1056社(前年比28.9%減)となり、全体の動向と同様に大きな変化はみられなかった。
「その他」の調達金額は前年より落ち込んだものの、調達社数は増加しており、エクイティ以外の手段を選択するスタートアップが増加している。24年には数百億円規模の大型デットファイナンスが複数公表されたが、25年上半期は大型融資が少なかったことで金額は抑えられた。一方で、デットファイナンスや補助金などを活用する企業は着実に増えており、スタートアップの調達手段が多様化している実態がうかがえる。



