過小評価を逆手に取る
穏やかに話すリーダーには、意外な強みがある──脅威とみなされにくいのだ。支配的な性格の人々がそれぞれ、注目の的になろうと競い合うなかで、穏やかなプロフェッショナルは、状況を観察し、把握し、戦略的に振る舞いつつ、不要な権力闘争に巻き込まれる面倒を避けることができる。
だが、穏やかであることと、誰の目にも留まらないことは違う。穏やかで有能なリーダーは、いつ自己主張をすべきかを知っている。
穏やかに話すリーダーは、グループディスカッションで声の大きい人々と張り合う代わりに、熟考に基づく的確な意見をあらかじめ用意することで、より大きなインパクトをもたらすことができる。絶えず言葉を発しているよりも、自信に満ちた意見表明を一つ、絶好のタイミングで行うことで、はるかに大きな効果をもたらすことができる。
サプライズ要素は、こうしたリーダーに有利にはたらく。口数の多くない人が、突如として説得力のある洞察を述べたときには、誰もが耳を傾ける。こうした言葉は記憶に残り、そして皆がリーダーの言葉を真剣に受け止める。
だが、こうした戦略が最も効果的なのは、立ち居振る舞いや印象付けと組み合わせた場合だ。控えめであることに頼りすぎると、軽んじられるおそれがある。過小評価は武器になり得るが、あくまで戦略的に利用できるならの話だ。控えめなやり方でもかまわないので、決定権をもつ人物があなたの貢献に気づくようにすることが、長期的に見た影響力の獲得につながる。
自分の本質を変えることなくリーダーになる
リーダーシップは、本来の自分を偽って示すものではない。あなたがもともと寡黙なタイプなら、無理して多弁を目指したところで、よいリーダーにはなれない。影響力をさらに備えるために必要なのは、自分本来の強みを生かす方法を身につけ、アプローチを切り替えるべきタイミングを理解することだ。
穏やかに話すリーダーは、存在感や行動、的確さによって尊敬を得る。彼らは、話すべきタイミングや、効果的な言葉遣い、人々が価値を認められていると感じられるような話の聞き方を心得ている。だが、「沈黙が金」ではないときがあると知っていることも、等しく重要だ。幹部社員との交渉や、重圧がのしかかるプレゼンテーション、重要な判断に際しての意見表明など、静かなリーダーにも、前に出て声を上げるべき瞬間がある。本来の性格を捨て去る必要はない。求められるのは、必要なときに対応できる臨機応変さだ。
自信をもって明確に話す、穏やかなリーダーは、声の大きなリーダーと同等か、それ以上の尊敬を集めることがある。影響力は、たくさん話すことがポイントではない。鍵は、自分が口を開いたときに、人々が注目し、耳を傾けるようにすることだ。そして時には、「いつもより声を上げるべき状況」を知ることが、「沈黙を続けてよい状況」を知ることと同じくらい重要になる。


