映画

2025.07.30 15:00

映画は墓地で仮装して観るのがLA流? 口コミで人気の屋外イベント「Cinespia」とは

Cinespia特別上映会・2021年7月撮影(Photo by Matt Winkelmeyer/Getty Images)

Cinespia特別上映会・2021年7月撮影(Photo by Matt Winkelmeyer/Getty Images)

米ロサンゼルスの屋外の楽しみといえば、ハリウッド・ボウルのボックス席やドジャースタジアムの特等席が思い浮かぶかもしれない。だが、それらを除けば、ハリウッド・フォーエバー墓地の芝生にブランケットを広げて約4000人の人々と一緒に映画を楽しむ「Cinespia(シネスピア)」と呼ばれる上映イベントほどロサンゼルスらしいものはないだろう。

この街で最も長く続く屋外映画イベントであるCinespiaは、ハリウッドのど真ん中に位置する有名な墓地を、夏の定番イベントの一つが開かれる場所へと変貌させた。2002年に『見知らぬ乗客』の静かな上映から始まったこのイベントは、その後の24年を経てカルチャーイベントとして定着し、上映前のDJやヴィンテージ風のフォトブース、フードトラック、そして近くに眠る往年の映画スターたち(ルドルフ・ヴァレンティノやジュディ・ガーランド、バート・レイノルズら)が思わず二度見するような映画をテーマにしたコスプレで、観客を魅了している。

LAの夏の定番となった屋外映画イベント

筆者は、どのような映画が上映されるかを問わず、Cinespiaのイベントの雰囲気が大好きだ。フェアバンクス・ローンと呼ばれる芝生の広場が、アットホームな映画の上映会にファッションショーやピクニックの要素が混じり合う空間になっている。先日開かれたコメディ作品『ロミーとミッシェルの場合』の上映会では、観客たちが青とシルバーのエンパイアウエストのミニドレスに身を包んで、映画の中のジョークを再現していた。

また、このイベントではセレブや映画関係者が上映前に作品を紹介することも多い。これまでの顔ぶれとしては、デミ・ムーアやキャメロン・クロウ、ドリュー・バリモア、クエストラブ、そして故ポール・ルーベンスらが挙げられる。

2025年の夏の終わりに向けて、ファンたちは9月1日のレイバーデー(労働者の日)の祝日以降の上映スケジュールにも期待を寄せている。今後のラインアップは、以下の通りだ。

8月30日(土) 『プリンセス・ブライド・ストーリー』
8月31日(日) 『羊たちの沈黙』
9月6日(土) 『スパイナル・タップ』(ロブ・ライナー監督が登壇予定)
9月13日(土)『エイリアン』

筆者は今回、Cinespiaの創設者であるジョン・ワイアットに、イベントの歴史や舞台裏について尋ねてみた。

──映画を墓地で上映するというのは、大胆な試みに思えます。最初にイベントを立ち上げたとき、それはジョークだったのですか? アートプロジェクトだったのですか? それともまったく別の何かでしたか? 

もともとは身内の映画クラブだったんだ。僕らのグループはクラシック映画を普通の劇場に観に行って、そのあとにアフターパーティーを企画していた。そして参加者が100人くらいになったときに、自分たちで映画を上映できる場所を探し始めた。ハリウッド・フォーエバー墓地は、ハリウッドの歴史が詰まっていて、広い芝生があり、霊廟の壁に作品を映写できるという点でも完璧だった。だから、基本的に今と同じ目的で始めたんだ。クラシック映画に人々を引きつける楽しい体験を作ること。それが当初からの明確な方針で、ビジネスモデルを形作るうえでも大事な指針になった。

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編集=上田裕資

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