経済・社会

2025.07.30 14:15

米国人さえギブアップする「チップフレーション」というとんでもない現象

thecottonhill / Shutterstock.com

夏の米国旅行チップの適正額は?

いまアメリカでは日本旅行がブームとなっているのは、ドル高に加え、日本にチップ文化がほとんどなく、支払額が明確かつシンプルであることが、「新鮮」と受け止められているからでもある。

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とはいえ、夏休みのアメリカ旅行のアドバイスとしては、チップをケチると嫌な思いをする可能性が高いため、むしろ記念の旅行であればこそ、ケチらないほうが良い。

チップをめぐって感情的になるサービス人と客のやりとりがYouTube動画にはあふれている。日本のように、人物の顔をぼかして動画をあげることもしないので、チップで揉めた人の顔は全世界に流れる。

しかし特別なアレンジを頼んだのでない限り(誕生日のサプライズケーキなど)、飲食に30パーセントもチップを払う必要はない。20パーセントから25パーセントの範囲なら「両者ハッピー」になると思う。

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チップはアメリカ人に聞いても明確な答えが出ない。迷ったときは、払うのが無難だ。

学生旅行などでどうしても節約したい場合は、現金で支払い、「お釣りは要りません」と言ってその場を去るのも1つの手だ。

「お釣りがチップ」はいまや時代遅れの低レートだが、少なくともあなたはチップを完全にスキップしているわけではなく、「チップをどうしますか?」の端末を向けられるわけではないので、沈黙の3秒の気まずさからも逃れられる。

また、ファーストフードを繰り返し使う予定なら、25ドルのギフトカードを買い、自分で使うと、チップ要求画面が出ないナショナルチェーン店が多数存在する(名前は出さないが)。

これはギフトカードがプリペイド式であるため、事前に決められた金額しか残高として使えないため、カード決済の際にチップを追加する機能をつけると残高不足でレジでのやりとりが複雑化するからだと言われている。

なにより強調したいのは、チップは「本当の感謝のやり取り」ではないということ。本当に感謝したいときには、別の方法で気持ちを伝えることが、旅する心を豊かにする。

例えば、クレジットカードの署名時にハートマークを書く、あるいは5円玉を渡して日本文化を語るなどのことは、以前に「アメリカで渡す『チップ』はどれぐらいが適正なのか?」というコラムでも紹介した。

筆者はそれをずっと継続しているが、つい先月も、某地方都市のご当地バーガーショップでチップはちゃんと払ったうえで5円玉をあげたら日本の話題でウエイトレスと盛り上がり、逆にお店の記念Tシャツをもらった経験もある。アメリカ旅行の醍醐味は、こういうサプライズにあるのかもしれない。めったにしないことだが、ウエイトレスとセルフィを撮った。

昨今の「いかれたチップ文化」のなかで、想定外の感謝のやり取りは、人と人のつながりを思い出させ、心をなごませると信じている。

ということで、さすがにこの職種の人はチップなどもらってないだろうという人に、100円ショップで買って持参する日本のお箸でも差し上げたらどうだろう。

この夏、アメリカを旅する人には、チップ文化の逆境を、ちょっとした心遣いで順境に変えて楽しんで欲しい。いってらっしゃい!

文=長野慶太

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