デービット・エリソンの父親は、シリコンバレーの巨人として知られる、米オラクルの共同創業者ラリー・エリソン(80)だ。この父は、25日時点で2900億ドル(約42.6兆円。1ドル=147円換算)の資産を保有する世界第2位の富豪でもある。その「親の七光り」でキャリアをスタートさせたデービットは、自らの映画会社スカイダンスをパラマウントと合併させたことで父の影を抜け出し、今やハリウッドで最も影響力のある人物の1人となった。
トランプ大統領をめぐる政治的混乱
トランプ政権の連邦通信委員会(FCC)は7月24日、エリソンが率いる映画製作会社スカイダンス・メディアとパラマウント・グローバルの合併を承認すると発表した。これを受け、現在42歳のエリソンはパラマウントの会長兼CEOとして、傘下のCBS、MTV、パラマウント・ピクチャーズなどのブランドを率いることになる。
スカイダンスは、2024年にパラマウントに買収を提案し、両社は最終的に同年7月に合併に合意した。しかし、この取引がFCCに承認されるまでには、約1年にわたる政治的混乱があった。トランプ大統領は、パラマウント傘下のCBSの報道番組『60ミニッツ』が、自分の気に入らない内容を報じたことを理由に、FCCに対して、CBSに懲罰的措置を科すよう求めた。CBSはその後、トランプから起こされた訴訟で1600万ドル(約24億円)の和解金の支払いに合意したほか、番組内でトランプを批判した人気司会者スティーヴン・コルベアの番組の打ち切りを発表した。
母親の影響で映画好きに
1977年にオラクルを共同創業したラリー・エリソンを父に持つエリソンは、カリフォルニア州ウッドサイドで母親に育てられた。妹のミーガン・エリソン(39)はアンナプルナ・ピクチャーズを設立した映画プロデューサーで、『ゼロ・ダーク・サーティ』『her/世界でひとつの彼女』『アメリカン・ハッスル』『ファントム・スレッド』といったアカデミー賞ノミネート作品を手がけている。
母親の影響で映画好きになったエリソンは、家族と一緒にリビングルームで何度も同じ映画を観ていたという。ジャーナリストで小説家のタフィー・ブロデッサー・アクナーは、彼に関するGQ誌の記事で、一家が繰り返し観た映画として『スター・ウォーズ』の3部作、『ジュラシック・パーク』、初代『ターミネーター』、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』などを挙げていた。
俳優としても活動
2000年代に俳優として活動したエリソンは、戦争をテーマにした映画『フライボーイズ』(2006年)で初の主演を務め、ジェイムズ・フランコと共演した。6000万ドル(約88億円)の製作費を投じたこの映画の興行収入は、1800万ドル(約26億円)以下で、大コケに終わった。この映画にはエリソンと彼の父親が出資したと報じられている。その後、2010年のコメディ映画『ホール・イン・ワン』では『アメリカン・パイ』で知られるスティーブ・タリーと共演したが、この作品もほとんど注目を集めなかった。
エリソンは、2011年に女優でシンガーソングライターのサンドラ・リン・モディックと結婚し、2人の子どもをもうけた。彼女は、サンドラ・リンという名義で2014年の『Sandra Lynn』、2018年の『Fight』といった複数のカントリーミュージックのEPをリリースしている。
また、代表曲『Lose the War』のミュージックビデオはYouTubeで110万回再生されている。2019年にビルボードは『I Think of You』のビデオを初公開し、「胸を打つ繊細なバラード」とこの曲を評価した。SpotifyやYouTubeのプロフィールによれば、彼女は2019年以降に楽曲をリリースしていない。



