北米

2025.07.28 17:00

米パラマウントの新トップに就任、「オラクル創業者」エリソンの息子はどんな男か?

デービット・エリソン(Photo by Kristina Bumphrey/Variety via Getty Images)

エリソンはパラマウントで何を目指す?

エリソンは、パラマウントを「テクノロジーと融合した企業(テック・ハイブリッド)」へと転換し、AIを活用してコンテンツ制作力を飛躍的に高め、コスト削減を図る方針を明らかにしている。昨年の投資家向けプレゼンテーションで彼は、オラクルと提携して「クラウド上のスタジオ」を構築し、AIとクラウドコンピューティングを用いて映画やアニメーション制作の工程を効率化する構想を語った。

advertisement

また、ストリーミングサービス「Paramount+」については、解約を減らし、加入者の視聴時間を伸ばすために、アルゴリズムの改良を進めたいと述べている。

エリソンはまた、連邦規制当局に対して、CBSニュースに偏りのない「アメリカ的な物語づくり」を促進させる方針を示したと報じられている。これはトランプ大統領が『60ミニッツ』をめぐって提起した訴訟と、その後のパラマウントとの和解を受けた対応とみられている。

また、しばしば物議を醸すジャーナリストで、自らを「リベラル寄りの中道派」と称するバリ・ワイスと接触しており、彼女が立ち上げたメディア企業「The Free Press」を買収し、CBSニュースと何らかの形で統合させる可能性もあると報じられている。

advertisement

エリソンがワイスの取り込みを検討している背景には、スカイダンスの法務責任者キョウコ・マッキノンがFCCに提出した書簡の中で、「新しいパラマウントの経営陣は、政治的・思想的スペクトル全体にわたる多様な視点をニュースおよびエンタメ番組に反映させることを保証する」と約束したことが挙げられる。ワイスはDEIや「ウォーク(woke)」文化に批判的な立場で知られ、NYTを「非リベラル的な環境」「新たなマッカーシズム」と批判して退社した後にThe Free Pressを設立した。

エリソンを支持するハリウッドの面々

ベン・アフレックは、昨年CNBCのパネルでエリソンを称賛し、「彼はマネジメント階級ではない。オーナーとして投資を行う人物として、まったく異なるアプローチでパラマウントに関与するだろう」と語った。ビリオネアの映画製作者タイラー・ペリーも、パラマウント傘下のBETと開発契約を結んでいる立場から、エリソンについて「この業界を愛している人物が、もっとも歴史あるスタジオのひとつを率いるのは良いことだ」と述べていた。

スカイダンスが製作したNetflixシリーズ、『グレース&フランキー』に主演したジェーン・フォンダは、今回の合併について「才能にあふれ、情熱的な映画ファミリーとのコラボレーションを今後も続けられることが確実になった」と歓迎の意を表した。エリソンもまた、CNBCに対し、長年の協力関係にあるトム・クルーズがこの合併を「支持している」と語っている。

FCCがパラマウントとスカイダンスの合併を承認

FCCは24日、パラマウントとスカイダンスの合併を賛成2、反対1の投票結果で承認した。反対票を投じたのは民主党のアナ・ゴメス委員で、彼女は大統領との訴訟でパラマウントが和解したことに言及しながら、同社が「政権に臆病に屈した」と非難した。

トランプは、パラマウントとの和解により1600万ドル(約24億円)を受け取ったと主張しており、「新たなオーナーからさらに2000万ドル(約29億円)を、広告や公共広告、あるいは同様の番組の形で受け取る権利がある」と述べている。

この合併の承認後、FCCのブレンダン・カー委員長は、「スカイダンスが、かつて名門だったCBSネットワークに大きな改革をもたらすと約束していることを歓迎する」と表明した。「もはや米国民は、旧来の全国ネットのニュースメディアが完全に正確に、公正に報道しているとは信じていない。今こそ変化の時だ」と彼は語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事