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2025.07.29 08:00

『サウスパーク』の原作者2人がビリオネアに、資産はそれぞれ1800億円

『サウスパーク』のクリエイターであるトレイ・パーカー(写真右)とマット・ストーン(同左)

最も困難な交渉とスカイダンス体制への試金石

パラマウントとパーク・カウンティによる今回の交渉はこれまでで最も困難なものとなり、パラマウントを傘下に収めたスカイダンスを率いるデービット・エリソンにとって、経営手腕を占う初期の試金石となった(彼は、世界第2位の富豪のラリー・エリソンの息子だ)。エリソンはアナリスト向け説明会で、新生パラマウントを「創造性を第一に考えるスタジオで、最高のストーリーテラーたちが最初に選ぶ場所」にしたいと語った。

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パラマウントの旧経営陣は、これまで『サウスパーク』や『イエローストーン』といった主力番組を、短期的な現金収入を得るために他社のストリーミングサービスにライセンス供与してきたが、エリソンはそれらすべてをParamount+に取り戻そうとしている模様だ。

ただし、その取り組みはスムーズには進んでいない。パーク・カウンティは、Netflixやワーナー・ブラザースに『サウスパーク』のストリーミング権を取得させるための交渉を行っていたが、その交渉をスカイダンスが妨害していると主張し、6月下旬に法的措置をとると警告していた。

パラマウントは、傘下のCBSの『60ミニッツ』で放映したカマラ・ハリスへのインタビューをめぐる訴訟において、トランプに和解金1600万ドル(約24億円)を支払ったことや、『ザ・レイト・ショー・ウィズ・スティーブン・コルベア』の打ち切りなど、ここ最近のネガティブな報道に続くさらなる悪評を避けたい思惑もあり、それがパーク・カウンティとの合意を急ぐ動機となっていた。

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スカイダンスとパラマウントは21日、『サウスパーク』新シーズンのさらなる延期や、その数日後に開催されたサンディエゴ・コミコンの壇上でパーカーやストーンから辛辣な発言が飛び出す可能性(彼らは実際は大人の対応をとった)に直面するなか、パーク・カウンティとの制作契約を見直すことで合意した。この契約は、交渉における最大の争点となっていた新たなストリーミング権の契約と連動するものだった。

15億ドル(約2220億円)という巨額の報酬を手にしたパーカーとストーンは、2030年まで毎年『サウスパーク』の新作エピソードを10話制作する予定であり、今後もパラマウントと訴訟好きな大統領をネタにし続けることは間違いない。しかし、24日夜のコミコンのパネルディスカッションで、今シーズンの今後の展開について尋ねられたストーンは、「政治ネタはもうやらない」とジョークを飛ばして、会場の笑いを誘った。

一方、最新エピソードに対するトランプの否定的な反応について尋ねられたパーカーは、同様に真面目くさった顔で「とても残念だ」と答えた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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