おそらく誰もがどこかの時点で、「私は格好いいだろうか」と自問したことがあるだろう。そして「私は好かれているのだろうか」「私は馴染んでいるだろうか」と思ったことがあるかもしれない。
だが、私たちは格好いいことの意味を知っているだろうか。好感を持たれ、社会的に受け入れられることだろうか。その意味は、文化が違っても同じだろうか。
これらの疑問を調べようと、専門誌『Journal of Experimental Psychology : General（ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・サイコロジー : ジェネラル）』に掲載された大規模な研究では、世界中で5900人超の参加者を募って実験を行った。参加者に格好いい、格好よくない、善良、善良でないと思う人物を思い浮かべてもらい、その人物の性格や価値観を評価してもらった。
その結果は顕著だった。文化的な違いはあるものの、格好いい人の中核的な特徴は驚くほど一貫していることがわかった。重要なのは、これらは感じ取られた特徴であり、必ずしもその人の本当の姿ではなく、どのように見られているかということだ。
研究チームはまた、格好いいと思うことが単にその相手を好きとか、その人が善良だと思うことの別の表現なのかどうかも調べた。その結果、「格好いい」と「善良（いい人）」の見方は重なる部分もあるが、異なるものであることがわかった。
研究結果に基づき、「格好いい人」と「いい人」を定義する主な特徴は以下の通りだ。
1. 慣習を疑い、変化を求める
自分が正しいと思うことに基づいてリスクを取る人なら、格好いい人への道を歩んでいるかもしれない。研究によると外向性やパワー、オープンマインド、独立性といった資質が、格好よさに関連する重要な特徴の一部であることが明らかになった。
格好いい人は現状に満足せず、進取の気性に富んでいる傾向がある。だからこそ、情報化社会では格好いいことが成長につながるのだと研究者らは主張する。そのような社会は、アイデアや文化、社会的革新を重視する傾向があるからだ。
「データでは格好いい人は自律的で冒険的、そしてオープンかつ快楽主義的であることが示された。これらの要素をもつ人は、新たな経験を求める傾向にある。研究ではまた、格好いいことと影響力があることが関係していることも示唆されている」と研究チームは指摘した。
格好いいことと影響力の関連性は、特定の公人が大胆で、憧れを抱かせる存在として共感を呼ぶ理由だ。たとえば最高経営責任者（CEO）だ。私たちがCEOの姿としてよく思い浮かべるのは、米テレビドラマ『ゴシップガール』に登場する架空の富豪バート・バスのようなストイックでスーツに身を包み、おそらくは堅苦しい人物だろう。バスは成功しているかもしれないが、冷淡で個人主義であるため、格好いい人またはいい人というには程遠い。
一方、英実業家のリチャード・ブランソンのような現実に存在するCEOは、宇宙へ旅したことから格好いいと思われるかもしれない。冒険好きで豪快、そして大胆という印象を受ける。ブランソンは民間人の可能性を広げ、宇宙は宇宙飛行士や政府機関だけのものという考えに挑んだ。
