アジア

2025.07.27 09:00

物価高で日本の政治が危機的状況に 日銀はトランプ関税や弱い景気で身動きできず

参議院選挙の開票結果や出口調査で与党の厳しい情勢が伝えられるなか、自民党本部で記者の質問に答える石破茂総裁。2025年7月20日撮影(EPA/ Franck Robichon / POOL/Anadolu via Getty Images)

植田は2024年3月に始めた利上げを再び逆転せざるを得なくなるのだろうか。これについては議論の余地が相当ある。とくに、日本がトランプとの関税交渉で「合意」に至っただけになおさらだ。トランプが一時「35%」とも脅していた日本に対する関税率が15%に抑えられたのは朗報だ。自動車輸出に関しても、これまでの25%の関税率を免れたのは救いになった。

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とはいえ、日本経済は主要なトランプ関税が適用される前の今年1〜3月期に、すでに年率換算で0.2%のマイナス成長に陥っていた。続く4〜6月期には、トランプ関税、物価高、国債利回り急騰という“三重苦”に見舞われた。日本の金利上昇はニュースの見出しに飾られることにもなった。

そして7〜9月期、日本の経済状況は順風満帆とはほど遠い状態にある。中国経済は減速し、デフレを輸出している。米国経済も欧州経済も、日本の輸出に弾みをつけるほど好調ではない。日本経済は深刻なインフレが続くなか、景気停滞下で物価上昇が進むスタグフレーションにはまり込みつつある。

日銀がこの先どう対応していくのかは誰にもわからない。おそらく植田本人にも。なぜなら、主に物価高が原因で日本の政治は異例の激動期に入っているからだ。

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20日の参議院選挙の結果、与党の自由民主党とその連立相手は参議院で過半数を割り込んだ。1955年以来、短期間の2回の下野を除いて一貫して政権を担ってきた自民党は、衆議院に続いて参議院でも支配を失った。自民党は今後の国政運営にあたっては、これまで以上に野党から協力を得たり、あるいは新たな政党を連立政権に引き込んだりする必要がある。自民党総裁である石破茂首相は近く引責辞任する公算が大きい。

協力や連立の引き換えに他党から求められるのはおそらく減税だが、このリスクは債券市場を不安にさせている。石破政権に関してこれまでひとつ評価できるものがあるとすれば、財政状況を極端に悪化させるほど巨額な景気刺激策の実施は避けてきたことだった。それが変わろうとしており、日本のすでに膨大な額に積み上がっている政府債務がさらに膨らむおそれが出ている。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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