欧州

2025.07.26 09:00

ロシア軍、夏季攻勢でも渡河に苦戦 練度不足の部隊には攻略難しく

ウクライナ南部ヘルソン州を流れるドニプロ川の右岸(西側)で、左岸側の集落クリンキ付近のロシア軍部隊に対して砲撃したウクライナ海兵隊第39独立沿岸防衛旅団の砲兵。2025年3月23日撮影(Ivan Antypenko/Suspilne Ukraine/JSC "UA:PBC"/Global Images Ukraine via Getty Images)

ウクライナ南部ヘルソン州を流れるドニプロ川の右岸(西側)で、左岸側の集落クリンキ付近のロシア軍部隊に対して砲撃したウクライナ海兵隊第39独立沿岸防衛旅団の砲兵。2025年3月23日撮影(Ivan Antypenko/Suspilne Ukraine/JSC "UA:PBC"/Global Images Ukraine via Getty Images)

ロシア軍は2022年5月、ウクライナ東部ルハンシク州でシベルシキー・ドネツ川の渡河を試みたが、ウクライナ軍の攻撃を受けて1個大隊戦術群が全滅した。その後、ロシア軍は新たな戦術や技術を駆使して戦場でいくらか前進を遂げてきたものの、渡河作戦の遂行能力は改善していない。

これはロシア軍の致命的な弱点となっており、今夏の攻勢でもいくつかの重要な作戦を停滞させる原因になっている。ロシア軍はとりわけ、南部のドニプロ川や東部のオスキル川の渡河に最近も繰り返し失敗している。

天然の要害ドニプロ川

ウクライナを大きく北から南へ流れる大河であるドニプロ川は、とくに黒海に注ぎ込む河口近くの南部ヘルソン市周辺でこの戦争の戦略的要衝になっている。ロシア軍は2022年2月にウクライナへの全面侵攻を始めた直後に、両岸を支配した。しかし反転攻勢に出たウクライナ軍が2022年11月に西岸側を奪還し、ロシア軍はヘルソン市を放棄した。2023年10月、ウクライナ軍はドニプロ川を渡って東岸に橋頭堡を築いたが、のちに撤退を強いられ、西岸で堅固な防御態勢を敷いた。

以来、ロシア軍はヘルソン市とその周辺地域を再び奪い取るため、繰り返し西岸に足場を築こうとしてきた。2024年3月にはロシア軍の偵察部隊がアントニウシキー橋付近で渡河を試みたものの、乗っていたボートが攻撃を受けて撃退された。

ロシア軍はドニプロ川の河口付近の島々を占拠して、砲兵やドローン(無人機)、兵站の前方拠点にすることも狙っている。2024年12月には、これらの島々を制圧するためにボート300隻を投入した大規模な強襲を仕掛けたが、ウクライナ軍の砲撃やドローン攻撃で撃退された。

ロシア軍は現在の攻勢の一環で、ヘルソン市を含むドニプロ川西岸地域の再占領に向けた行動を再び活発にしている。ウクライナ海兵隊の第30海兵軍団は6月、ロシア軍が西岸側や河口付近の島々に対して、ドローンや電子戦の支援を受けながら連日攻撃を仕掛けていると報告している。しかし、ウクライナ軍は引き続きこの地域を火力で抑え込める状態に置いており、直接射撃や調整された砲撃、ドローン攻撃によってロシア軍部隊の上陸を阻止している。

相当数の兵員や装甲車両を対岸に送り込むことができない限り、ロシア側はこの攻撃軸で意味のある前進を果たすのは不可能だろう。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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