例として、マーティ・マクフライ流で時を遡ったとして、あなたは自分の存在に必要不可欠な場面に介入してしまったらどうするだろう。あなたの両親が恋に落ちることを妨げてしまったら? 言うまでもなく、あなたが生まれてくることはもうないだろう。しかし、あなたは紛れもなく存在している。とすると、どうやって過去にさかのぼって、自分が生まれることを阻止したりするだろうか?
このような思考実験から、哲学的な根拠に基づき、多くの者が時を遡ることは不可能だと推測している。これには「親殺しの逆説」として知られる逆説が関連していて、宇宙は人が過去にタイムトラベルして自分の祖父を殺す、すなわち自分自身の存在を妨げる可能性を認めない、というものである。
しかし、これは時空連続体を解きほぐしてしまうのだろうか?これは宇宙全体を破壊するのだろうか?
そうとも限らない。パラドックスは、あるテーマについて私たちの従来の考え方が、せいぜい不完全であることを教えてくれる。しかし、その結果が必ずしも時空を解きほぐしたり、宇宙を破壊するなどといった悲惨なものになるわけではない。それは単に、私たちが当初考えていたことを遥かに超える、何かが、世界で起こっているということかもしれない。
これが破滅的なパラドックスかどうかについて、私は「否」に賭ける。我々が現在理解している物理法則を考えると、可能な展開が二つある。
まず1つ目は、過去は永久に書き残されるものであり、私たちが何をしても変えることはできない、というものだ。これは、過去へのタイムトラベルという考え方と必ずしも相容れないものではない!親友に災難が降りかかることを知り、過去に戻って警告する必要があるとしよう。そこであなたはタイムマシンに乗り込み、過去に戻って友人に警告し、そして戻ってくる。
いい計画のように聞こえるだろう?
さて、このシナリオ下、災難はすでに起こったことである!あなたの友人は過去にタイムトラベルしたあなたに出会った後、警告を受けたことを思い出し、避けられない事態に適切に備えたはずだ。あなたは過去にタイムトラベルし、何をしたにせよ、戻ってきたはずだ。なぜなら、あなたにとって今起きている出来事は、宇宙の過去にすでに起きているから。


