WOMEN

2025.08.02 15:00

クリスピー・クリーム復活につながった逆境の仕事人生:若月貴子

2006年の日本上陸時、新宿サザンテラスの1号店に長蛇の列ができるほど話題となった米国発「クリスピー・クリーム・ドーナツ」が、再び存在感を増している。それもそのはず、ターミナル駅を中心にテイクアウト専門店を展開し、スーパーではキャビネットで販売。デリバリーにも力を入れるなど、投資の軽さと運営のうまさで、気づけば86店舗(25年6月現在)。 この多様な店舗展開をはじめとする戦略でV字回復を成し遂げた立役者が、現在、社長を務める若月貴子だ。

advertisement

12年に転職してきた若月は、入社後すぐに先行き不透明な経営に気づいたが、同時に「またか」とも思ったという。「新卒で入った西友で、20代から債権放棄や会社の売却交渉など、嵐のような仕事人生を送った」からだ。

自分のキャリアだけを考えれば再び転職すればいい。でも、いい仲間に出会った。さらに当時の社長から「『若月さん、僕はgoodじゃなくてgreatになりたい。だから、この難局を乗り越えましょう』と言われたのです」。この言葉で覚悟を決め、かつての経験を存分に生かして改革を進めた。若手の登用と育成に力を入れ、地方店舗を閉鎖するなど大なたも振るった。社内はひとつにまとまったが、社外の厳しい目はしばらく続いた。しかし、この期間に躍進していく体制と担い手が育まれ、巻き返しの原動力となった。

来年は、日本上陸から20年。たとえ再び、大きな嵐が来ても、若月たちが恐れることはない。

advertisement


わかつき・たかこ◎1969年生まれ。大学卒業後、西友に入社。経営共創基盤を経て、2012年クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパンに入社。管理本部長として経営企画や財務・総務・人事などを担当。17年4月より現職。おすすめは「チョコクランチ」。

文=古賀寛明 撮影=平岩 享

タグ:

連載

Forbes WOMAN

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事