暗号資産

2025.07.28 09:00

JPモルガンら大手銀行も「暗号資産」に熱視線、ステーブルコイン新法成立で

JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEO(Photo by Noam Galai/Getty Images)

JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEO(Photo by Noam Galai/Getty Images)

米国が暗号資産の規制に向けて歴史的な一歩を踏み出す中、銀行大手はデジタル資産が主導する経済の中で存在感を維持するため戦略の再評価を行っている。

トランプ大統領が7月18日に署名した「GENIUS法(米国におけるステーブルコインのための国家イノベーションの指針および確立法)」は、決済用ステーブルコインに関する、米国で初となる全国レベルの法的枠組みを確立するものだ。伝統的な金融機関にとってこの新法は「青信号」もしくは「警告」のどちらにもなり得る。

ステーブルコインの開発から暗号資産担保型ローンに至るまで、既存の銀行は今や自社のサービスを近代化しなければ、デジタルネイティブの競合に市場を奪われるプレッシャーに晒されている。しかし、規制の明確化はようやく始まったばかりで、すでに出遅れている金融機関もある。

「大統領は選挙戦の最中に、米国を世界の暗号資産の中心地にすると明言していた。GENIUS法への署名は歴史的な出来事であり、ステーブルコイン業界にとって重要な規制の明確化を実現した」と、上院銀行委員会の委員長、共和党のティム・スコット上院議員は語った。

デジタル資産における画期的な転換点

GENIUS法は、数カ月にわたる議論と40以上の修正案を経て、上下両院で超党派の支持を得て可決された。同法は、ビル・ハガティ上院議員(共和党)、シンシア・ルミス上院議員(共和党)、カーステン・ジリブランド上院議員(民主党)、アンジェラ・オルソブルックス上院議員(民主党)などの主導によるもので、決済用ステーブルコインの発行・管理・規制に関する法的枠組みを定めている。

ステーブルコインは、トレーダー、企業、国際送金業者に活用される数十億ドル(数千億円)規模のセクターへと成長したが、これまでほぼ無規制の状態にあり、消費者保護、システミックリスク、金融政策に及ぼす影響に関する懸念が高まっていた。

GENIUS法のもと、ステーブルコインの発行者は準備資産による100%の裏付けを保持し、定期的監査を受けることや規制当局への登録が義務付けられる。また、近年相次いだ著名な企業の崩壊を受けて、実体資産による裏付けのないアルゴリズム型ステーブルコインは禁止される。

上院銀行委員長のスコット議員は、同法が数カ月にわたる超党派の交渉と法律の専門家や業界関係者、規制当局の意見を取り入れて完成したものだと説明している。「この法律は、全米の労働者、中小企業、地域社会に対し、迅速かつ低コストでアクセスしやすい決済手段を提供する。そして米ドルの世界的優位を確固たるものにするだろう」と同議員は述べた。

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編集=上田裕資

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