暗号資産

2025.07.28 09:00

JPモルガンら大手銀行も「暗号資産」に熱視線、ステーブルコイン新法成立で

JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEO(Photo by Noam Galai/Getty Images)

大手銀行が暗号資産への関与を開始

GENIUS法の成立を受けて、米国では各銀行の取り組みが始まった。JPモルガン・チェースは現在、ビットコインやイーサリアムなど顧客が保有する暗号資産を担保にしたローン商品を開発中だと報じられており、「早ければ来年にも提供が開始される可能性がある」と英紙フィナンシャル・タイムズは伝えている。

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この動きは、これまでウォール街で最もビットコインに批判的な発言を繰り返してきたJPモルガンのジェイミー・ダイモンCEO率いる同社にとって、大きな方向転換を意味している。また、他の大手銀行も取り組みを開始しており、バンク・オブ・アメリカのブライアン・モイニハンCEOは、自社がステーブルコインの発行に向けた動きを進めていると明かしたが、具体的な時期は示していない。

シティグループも関心を示している。同社のジェーン・フレーザーCEOは、迅速かつ安全なデジタル決済を可能にする「シティ版ステーブルコイン」の発行を検討していると述べた。

規制の明確化がもたらす変化

伝統的な金融機関は長年にわたり、規制の不明確さや評判リスクを理由に、暗号資産への関与に慎重な姿勢を取ってきた。また中には、暗号資産ビジネスに関連する口座を閉鎖したり、その取引自体を遮断したりするケースもあった。

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しかし、規制環境は急速に変化している。現在議会ではGENIUS法に続いて、すでに超党派の支持を得て下院を通過した「デジタル資産市場の明確化法案(CLARITY法)」の審議が進んでいる。

上院銀行委員長のスコット議員、ルミス議員、ハガティ議員、バーニー・モレノ議員によって発表されたCLARITY法の上院版の草案は、追加的な規制の枠組みを提案しており、異なる種類のデジタル資産を監督するうえでのSEC(証券取引委員会)とCFTC(商品先物取引委員会)の役割を明確にしている。

この草案は、トークンが証券に分類されるのか、それともコモディティ(商品)に分類されるのかという基準を明確にすることを目的としており、SECに対しては「デジタル資産の活動に合わせて既存の規制要件を調整すること」を求めている。したがって、この法案が成立すれば、銀行が「規制が曖昧だ」として対応を先送りできなくなる。

a16z crypto創業者でマネージング・パートナーを務めるクリス・ディクソンは、CLARITY法案について、「この法案は消費者を守り、開発者や投資家を支援し、暗号資産におけるイノベーションを米国内にとどめるものだ」と述べていた。

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編集=上田裕資

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