アート

2025.07.30 09:45

「ブルジュ・ハリファ」も仰天、フランク・ロイド・ライト未完摩天楼の野心

(Wonderful Engineering)

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1956年、アメリカの建築家フランク・ロイド・ライトは、史上最も野心的な建築構想のひとつを発表。それが「The Illinois(ザ・イリノイ)」だ。シカゴの中心部に建設される予定だったこの超高層ビルは、なんと高さ2.4キロメートル以上。現在の超高層建築の代表であるブルジュ・ハリファよりおよそ70年も前に、ライトはそれを超えるタワーを構想していた。

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ライトの構想は、単に高さを競うだけのものではなかった。彼は10万人以上を収容可能な、52階建ての垂直都市を構想していた。輸送機能も完備され、原子力で動くエレベーターは分速1.6キロメートルという驚異的なスピードで移動する想定であったという。これは現代の最速エレベーターの約3倍の速度だ。さらに、このビルには100機以上の航空機と15000台の自動車を収容するスペースも設けられる予定で、まさに自己完結型のメガシティだ。

加えて、「ザ・イリノイ」は、自然とテクノロジーを融合させた驚異の構造である。建物の構造は、木の根のような有機的な形から着想を得ており、風による揺れを抑える強靭で安定した構造を実現する意図があった。中心部分のコアは地下に15階分まで伸びており、逆さエッフェル塔のような基礎構造を計画していた。外装には金属とガラスを使用し、ライトが他の作品で見せる有機的デザインとは一線を画す、未来的な外観になるはずだった。

この壮大な構想は現実には至らなかったが、「ザ・イリノイ」はライトの都市生活と建築に対する根本的に革新的な思想を象徴していると言える。スケール、構造、都市の密度といった従来の考え方に挑戦するものであり、技術的にも経済的にも実現不可能だった時代に、あえてその限界に挑んだ。

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現在では、スペイン人建築家ダビド・ロメロ(David Romero)の手によって、3Dレンダリングを通してこの構想が視覚化され、未完の夢がようやく現実味を帯びてきた。

「ザ・イリノイ」は今もなお、建築的想像力の象徴であり、その先進的な発想は未来の建築家や都市計画者たちにインスピレーションを与え続けている。






(この記事は、英国のテクノロジー特化メディア「Wonderfulengineering.com」7月2日の記事から転載したものです)

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