サーキットで見るフェラーリは、美しい。
造形だけの話ではない。機械が加速する瞬間に増大する質量、心を震わせる音の切れ味、目まぐるしく角度を変えるフォルムの緊張と解放。どれもが、静的な展示では伝わらない、“生きている”感じを放っている。街なかを移動しているフェラーリと、サーキットを疾走しているフェラーリは、明らかにダイナミズムがまるで違う。
6月21日と22日、富士スピードウェイで開催された「Ferrari Racing Days 2025」は、そのことを強く実感させる週末だった。今年で日本開催10回目という節目を迎え、全国から480台を超えるフェラーリが集結。のべ4000人以上のオーナーやファンが富士の麓に集まった。
イベントのプログラムは濃密だ。サーキットというもっともフェラーリが映える舞台で、フェラーリというブランドの本質がまざまざと立ち上がるような体験だった。

サーキットという舞台で再確認する、フェラーリのコア
富士スピードウェイのピットレーンでは、レーシングチームのユニフォームを着たメカニックやドライバーが普通に歩いている。車体に触れ、ブリーフィングルームに向かい、談笑する。そのすぐ横を、サーキット走行に備えてヘルメットを抱えたオーナーたちが通り過ぎる。ル・マンの優勝経験者と、初めてサーキットを走る人が、同じ空間を共有する。それでいて、その混交が不思議に感じられないような、開かれた濃密さが、サーキットのあらゆる場所を覆っていた。
2023年のル・マン24時間レースでフェラーリに優勝をもたらした499P。この車両をベースにサーキット専用の限定モデルとして開発された499P Modificataがトラックを駆ける。メインスタンドに陣取ったフェラーリファンから自然と歓声が上がった。
そして競技車両であるこの499Pをベースにしたサーキット専用モデル「499P Modificata」もこの日、日本での初走行を披露。世界最高峰の耐久レースを走るフェラーリに近いマシンを、レーサーではないオーナーが所有することができる。つまりフェラーリのレース活動とオーナーたちの距離が、意外なほど近いことを象徴していた。



