北米

2025.07.27 11:00

我々が腐敗と呼ぶべきもの――「トランプ帝国」が拡大、露骨すぎる利益相反の実態

ドナルド・トランプ米大統領(Photo by Chip Somodevilla/Getty Images)

米国建国の父たち、そして憲法と共にある「報酬条項」

外国勢力が国のトップに取り入ろうとする試みのルーツは、米国の建国当時にさかのぼる。ゼファー・ティーチアウトの著書『Corruption in America(米国における汚職)』によると、ルイ16世は、ベンジャミン・フランクリンがパリを離れる際に、408個のダイヤモンドがあしらわれた嗅ぎタバコ入れを贈ったという。

advertisement

当時の連合規約は、外国の君主から贈り物を受領することを禁じていたため、フランクリンは、この箱を持ち帰るために議会から特別な許可を得た。翌年、彼と仲間たちはフィラデルフィアに集まり、連合規約を廃止し、合衆国憲法の草案を作成したが、その際に残された条項のひとつが、公職者が外国からの贈り物を受け取る際に議会の許可を得ることを義務付けた「報酬条項(emoluments clause)」だった。

それから200年以上が経った2016年、トランプが大統領選で勝利すると、この「報酬」の意味や大統領が外国とのビジネス利権を保有し続けられるかについての法的論争が巻き起こった。当時のトランプのチームは、この問題をある程度は真剣に受け止めており、新規の海外事業を行わないと約束しただけでなく、旧ソ連の構成国、ジョージアでのプロジェクトなど進行中の案件をいくつか中止した。

「報酬条項は間違いなく最大の懸念事項だった」と、ジョージアにおけるビジネスパートナーの1人、ギオルギ・ルツキラゼは2017年にフォーブスに語っていた。「彼らが懸念していたのは、もし事業の交渉相手が政府になった場合、大統領であるトランプが関わっていることで、メディアや世間から『便宜を受けているのではないか』と受け取られることだった」。

advertisement

トランプはその後、他の事業を息子のエリックとトランプ・ジュニアに任せていた。2018年にインドを訪れ高級分譲マンションを販売していたジュニアは、CNBCの取材に対し「私たちは、あれこれと自らに制限を課したのに、感謝もされず、何の評価も得られていない」と不満を漏らしていた。

第1期政権での制約と訴訟

しかし、トランプ一家が評価されなかったのは、彼らが依然としてライセンス契約やホテルの運営、不動産事業などを通じ海外から多額の収益を得ていたからだった。そして、非営利団体やメリーランド州および首都ワシントンの司法長官らが、トランプが報酬条項に違反しているとして訴訟を起こした。この訴訟は、時間をかけて最高裁まで進んだが、最高裁はこれまで「報酬」の定義について判断を下したことがなく、トランプが2020年の選挙で敗北するまでの間に判決は出されなかった。

そしてトランプが退任した直後に裁判所は、この訴訟を却下した。ここで気になるのは、200年間ほとんど取り上げられなかったこの問題が、近いうちに再び浮上する可能性がどれほどあるかだ。

次ページ > 2020年の「敗北」からの返り咲き

編集=上田裕資

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事