バイオ

2025.07.30 16:30

絶滅したマンモスやオオカミの復活は地球を救い、マネーを生むのか

コロッサル・バイオサイエンシズ共同創業者兼CEOのベン・ラム(Mat Hayward / WireImage / Getty Images)

体重6~8tとされるケナガマンモスが重要なのは、彼らが草をはみ木々を踏みつけて永久凍土の融解を遅らせ、有機炭素の地中深くへの蓄積を助け、北極圏の草地の保全に貢献したと考えられるからだ。コロッサルは28年までにケナガマンモスの子どもの誕生を目指している(以前の目標は27年だった)。

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同社はケナガマンモス以外に、ドードー(1681年に絶滅)とタスマニアンタイガー(正式に絶滅と宣言されたのは1982年)の復活も計画している。ラムは、マンモスよりも、ドードーまたはタスマニアンタイガーの復活が先になるとほのめかしつつも、どちらが先になるかは明言を避けた。

コロッサルは絶滅種復活の実現に向け、ブライヤー・キャピタルやドレイパー・アソシエイツ、ビリオネアのマーク・ウォルターとトーマス・タルの投資会社であるTWBグローバルなどの大手投資機関から、総額4億3,500万ドルを調達。絶滅種復活の取り組みは収益化していないが、スピンアウトで2つのスタートアップを誕生させている。バイオコンピューティング・プラットフォームのForm Bio(フォームバイオ、22年独立)と生物学的リサイクル企業のBreaking(ブレーキング、24年独立)だ。

資金に乏しいコロッサルに102億ドルという驚異的な評価額がついたのは、現在の事業ではなく、『ジュラシック・パーク』で描かれているような科学を将来実現させる可能性への投資家の期待の表れだ。「コロッサルは、絶滅種の復活と種の保存の両方で、AIとバイオコンピューティング、遺伝子工学が交わる分野をリードする企業なのです」

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グッゲンハイム・パートナーズの最高経営責任者(CEO)でもあるウォルターは、最新の資金調達ラウンドへの参加呼びかけの声明でそう述べている。「『コロッサルに投資される資金は、むしろ自然保護のための伝統的アプローチに投資すべきではないか』という質問をよく受けます」

そう話すのは、コロッサルの最高科学責任者(CSO)で現在休暇をとってカリフォルニア大学サンタクルーズ校で研究中のベス・シャピロだ。彼女は伝統的アプローチへの投資を肯定しつつこう言う。

コロッサル・バイオサイエンシズで最高科学責任者(CSO)を務めるベス・シャピロ(Shelby Tauber / The Washington Post / Getty Images)
コロッサル・バイオサイエンシズで最高科学責任者(CSO)を務めるベス・シャピロ(Shelby Tauber / The Washington Post / Getty Images)

「これは新しいマネー、新しい人材、新しいアイデアが切実に必要とされる分野への投資なのです」

多弁なラムは、コロッサルが取り組んでいる科学がいかに大きなビジネスの基盤となりうるかについて多くの例を挙げて説明する。そのひとつが、絶滅種を復活させたい、または絶滅危惧種の絶滅を防ぎたい政府を収入源とすることだ。長年自然保護の取り組みに予算を割いてきた政府が、このような最先端科学に予算をつければ、初めてのことになる。「24年初めなら、こうした研究に予算を割く政府があると思うかと問われたら『多分ない』と答えたでしょう。しかし、状況は変わりつつあります」(ラム)

コロッサルは現在、2つの政府と「掘り下げた議論」を進めており、そのうちのある島国の政府とは、契約調印には至っていないものの、生物多様性の契約について話し合っているところだという。ラムは、絶滅種復活の取り組みは収益化できるテクノロジーとライセンス可能なテクノロジーを生むもので、「ぜひものにしたい」と語る。

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文=エイミー・フェルドマン 写真=ジョン・デイビッドソン 翻訳=フォーブス ジャパン編集部 編集=森 裕子

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