企業のセキュリティとコンプライアンス対応を自動化するスタートアップ「Vanta(ヴァンタ)」は7月23日、新たに1億5000万ドル(約221億円)を調達し、評価額が41億5000万ドル(約6100億円。1ドル=147円換算)に達したと発表した。この評価額は、約1年前の調達時の24億5000万ドル(約3602億円)からの大幅な上昇だ。
Vantaの累計調達額は約5億ドル(約735億円)に達した。同社の共同創業者でCEOのクリスティーナ・カシオッポ(39歳)の持ち分の価値は、以前の5億5000万ドル(約809億円)から約8億3000万ドル(約1220億円)に上昇した。彼女は、フォーブスの「米国で最も裕福なセルフメイド・ウーマン(America’s Richest Self-Made Women)」リストにも選出されている。
投資家との再会が導いた資金調達
今回のラウンドは、新規投資家のウェリントン・マネジメントが主導し、セコイア・キャピタル、クラフト・ベンチャーズ、Yコンビネータ、ゴールドマン・サックス、JPモルガンなど既存投資家も参加した。ウェリントンの後期成長投資部門責任者を務めるマット・ウィザイラーによると、Vantaは今回、明確に新たな資金調達を目指していたわけではなく、1年前に調達した1億5000万ドル(約221億円)の資金にもまだ手をつけておらず、2023年のラウンドの調達資金の大部分もまだ未使用だという。
「私は、Vantaのこれまでの5年間を通じて、このような資金調達の機会は永遠には続かないということを学んだ」とカシオッポは述べている。「調達に踏み切った理由の一部は、現状で非常に大きな機会が広がっており、私たちは有利な立場にあると感じたからだ。資金があれば、追い風に乗って一気に前に進めると考えた」。
カシオッポとウィザイラーが最初に出会ったのは今から10年以上前。2人が共にニューヨークでベンチャーキャピタルに勤務していた頃のことで、マンハッタンにあったシティ・ベーカリーでよくコーヒーを飲んでいたという。ウィザイラーは当時のカシオッポの印象について、「極めて戦略的かつエネルギッシュで思慮深く、賢さでいえば10点満点中10点だった」と語っている。
2人が再会したのは約4年前、ある人物がウィザイラーに「Vantaは投資先として注目に値する」と紹介したのがきっかけだった。その際ミーティングを終えたウィザイラーは、「いつかこの会社と一緒に仕事をしたい」と感じたという。そして今年初め、カシオッポとの非公式な会話をきっかけに、今回の資金調達が実現した。参加したのはウェリントンとVantaの既存投資家だけだった。カシオッポとウィザイラーによれば、Vantaは今回、正式な資金調達資料すら作成しなかったそうだ。
市場の追い風と投資家の視点
「1歩引いてビジネス界全体を見渡せば、コンプライアンスやセキュリティ、そして規制が、今や企業活動を突き動かす主要な原動力になっていることがよくわかる。それはますます加速しているし、上場企業の世界でも同じことが起きている」とウィザイラーは指摘する。「Vantaは今後10年以上にわたって、こうした流れを収益につなげていく上で、非常に有利な立場にあると思う」。



