海外

2025.07.28 09:30

米「コンプライアンス対応自動化」のユニコーン、Vantaが評価額6100億円に

Vantaの共同創業者でCEOのクリスティーナ・カシオッポ(Photo By Harry Murphy/Sportsfile for Collision via Getty Images)

AI戦略とリスク管理の強化

また、AIについてカシオッポは、顧客の課題の解決に「実際に役立つ」ことを重視している。Vantaは先月、セキュリティとコンプライアンスの業務フローをほぼ自動で処理するAIエージェントを発表した。VantaのエプリングCPOによれば、その狙いは、Vantaのツールを利用する企業側と、それを導入する顧客側の双方が「人手を介さないセキュリティチェック」を実現できることだという。

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ただし、AIは誤った情報を生成する「ハルシネーション」のリスクを伴うため、現時点ではAIが出力した推奨事項や質問票の回答はすべて人間による確認が必要となっている。またVantaは、顧客データをAIの学習に使用しないと主張しており、既存の大規模言語モデル(LLM)に加え、高品質な人手によるラベル付きデータと合成データを組み合わせてAIの性能を高めている。

またAIに関する機能の有無を問わず、膨大な顧客データを扱うこと自体にリスクはつきものだ。実際、5月には製品の不具合により、数百社分のVanta顧客のデータが一時的に他の顧客から閲覧可能な状態になっていたことが発覚した。カシオッポは、LinkedInにこの問題について投稿し、この件がすでに完全に解決済みであると説明し、何が起こったのかという点をはじめ、発生原因、再発防止策について今後も積極的に情報を開示する姿勢を宣言した。

Vantaは7月初めには、イスラエル拠点のセキュリティ関連スタートアップ、Riskeyを非公開の金額で買収した。この買収は、企業のコンプライアンスのリスクについて、AIを用いて継続的に監視することが狙いだという。カシオッポは、今後も既存製品群を補完する周辺領域の技術を持つ企業を積極的に買収したいと考えており、今回の資金調達によって、条件が整えばさらなる買収も可能だと述べている。

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「テクノロジーの歴史を長い目で見ると、持続的に成長する企業は、早い段階でマルチプロダクト化していることが多い。中核となる製品やユースケースの周囲には、他にも役立つものがたくさんあると私たちは考えている」とカシオッポは語っている。

上場を見据えた長期ビジョン

彼女によれば、Vantaの長期的な目標は「持続可能で息の長い企業」になることだという。そして、そうした企業は例外なく、いずれ上場企業になる。運用資産が1兆ドル(約147兆円)規模で、約3000人の上場市場専門チームを抱える資産運用会社ウェリントンは、そうした背景もあって今回の調達を主導したとウィザイラーは述べている。

「私たちの戦略は、未公開市場のなかで次世代の上場企業候補を見つけ出し、彼らとパートナーシップを組んで、優れた上場企業へと育てていくことだ」とウィザイラーは語った。「Vantaを含む当社の出資先はすべて、長期的に見て上場企業になれると当社が信じている企業ばかりだ」と彼は続けた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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