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2025.08.12 14:15

生成AI時代に限界を迎える3つの権利

Phonlamai Photo / Shutterstock.com

次に特許権-ChatGPTによる分析と課題整理

特許権についてはどうでしょうか? ChatGPTは以下の様な分析と課題整理をしてくれました。

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2. 特許権(発明)
 ■ 生成AI時代の変化
• AIが発明アイデアを出す事例(薬品設計、回路設計など)が増加。
• 人間の関与が最小限の場合、「発明者」が誰かが争点に。
 ■ 現在の制度の限界
• 多くの特許庁(例:米国、欧州、日本)は「AIは発明者になれない」と明示。
• しかし、AI主導の発明が現実に存在し始めている。
 ■ 将来的な見通し
• 「人間がAIを使って発明した」という形に落とし込まざるを得ない現状。
• AI支援型発明の特許制度の整備が必要。
一部では「AIが発明者」の特許を認める法制度を模索中(例:南アフリカ)。

南アフリカがAIを発明者として特許権を付与したというニュースが2021年頃に複数出ています。かつて所属したS社で著名なエンジニアの方が特許自動生成エンジン的なものを創り、多くの発明を生成されていたと聞いたことがあるのですが、そういった事が既に普通になりつつあるようです。

創薬などかつては実験室内で研究者が行う形で新薬の創成を実現していましたが、デジタルツイン技術とコンピューティング性能の急速な進化により、仮想的なデジタル実験室の中で膨大な組み合わせによる可能性探索が現実的なアプローチになってきており、人の介在がこれまでよりも希薄になりつつあるようです。こういった中で発明者=人という概念が維持しにくくなっている様に見えます。

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DeepFakeなど既に問題を起こしつつある肖像権

すでにDeepFakeなどで有名な政治家やタレント本人があたかもしゃべっている様な映像を御覧になったかと思います。ちょうどこのコラムを書いている時も米国大臣の偽物音声が各国要人と対話したようだという驚くニュースがありました。

もはや電話などの音声では本人かそうでないかを見分けることは殆ど不可能な時代となりました。

肖像権に関するChatGPTの分析と課題整理は以下の通り。

3. 肖像権(タレントや俳優の外見)
 ■ 生成AI時代の変化
• 俳優やタレントの容貌・声・演技を模した「デジタルクローン」の急増。
• 遺族の許可なく故人の外見を使用する事例も増えている。
 ■ 現在の制度の限界
• 多くの国では明確な「肖像権」立法が存在せず、人格権や不法行為で代用。
• 「ディープフェイク」や「生成クローン」の利用制限が困難。
 ■ 将来的な見通し
• 欧米では「パブリシティ権」の立法が進行中。
• 「本人の許可なくAIで外見・声を使ってはならない」規制が求められる。

肖像権には声・演技も含めて広くとらえています。国の代表者や有名タレントのディープフェークもネット上で多くみられるようになり、声優さんなどによる抗議や問題提起も増えているようです。

しかし、ある地域で有名であっても、世界的な著名人を除けば、世界中で有名である事は稀で、生成AIで人の顔を創れば、世界の誰かに似ていることが避けられませんし、その地域限定・コミュニティ限定の有名人を意図していない事が多いと思われます。そういった状況の中で、肖像権を主張し続けるのは極めて難しい事になるとみています。

生成AIが造った画像でなくても、世の中には「ドッペルゲンガー」と言われるそっくりな人が存在する事は良くあります。たとえ世界的に著名な人に似ている人がいたとしても、その人が著名人の肖像権を犯しているという事は言えないでしょうし、生成AIが膨大に産み出す画像の中にどこかのコミュニティで著名な人の顔に似てしまう事象は頻出するでしょう。

一方で、意図的に著名人に似せて、悪意を持って利用するという事はあり得るのですが、この悪意を証明するのが極めて難しい様に思います。肖像権ではないですが、日本の古典柄を採用したデザインを意匠化しようした海外企業のケースもあったりと、こういった領域の現行法規や規則に限界があるのは明白です。

次ページ > ChatGPTが提示する解決のアプローチ

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