北米

2025.07.25 10:00

7月FOMCで注目すべき3つのポイント、トランプからの圧力への対応は

Mark Makela/Getty Images

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米連邦公開市場委員会(FOMC)は、米国時間7月30日に政策金利の決定を行う予定だ。

米連邦準備制度理事会(FRB)は今年に入ってから現在まで、政策金利を4.25%〜4.5%の範囲で据え置いており、市場も7月の利下げを予想していない。ただし、債券市場の期待を測定するCMEのFedWatchツールでは、9月17日に予定されている次回会合で利下げが実施される可能性が比較的高いと見られている。

今回の会合では、以下の3つのトピックが市場の注目を集めると考えられている。

1つ目の注目点は、FRB議長のジェローム・パウエルが、トランプ米大統領およびその政権から繰り返し受けている圧力や批判にどう対応するかである。過去の会合では、パウエルはこの問題に関する質問に対して、正当な理由なくFRB議長を解任することは法的に不可能であると指摘するにとどめ、トランプの発言には公の場で反応することを避けてきた。

他に注目すべき点としては、9月の利下げを示唆する兆しがあるかどうか、そしてFOMC内で政策判断に関して意見の不一致が表面化するかどうかである。

トランプによるパウエル批判

トランプは、政府債務の利払いコストを抑える目的もあり、金利の引き下げを求めている。それに対して、FOMCの使命は安定したインフレと完全雇用の維持である。FOMCは、インフレ率が目標を上回り、かつ雇用市場が堅調であると見られるなか、これまで追加の利下げを控えてきた。

パウエルの任期は2026年初めに終了する予定であり、その際にはトランプが新たなFRB議長を指名することになるが、これまでトランプによるパウエルへの批判は現職大統領としては異例なほど激しく、また公然と行われてきた。それに対して、パウエルは公の場での直接的な反応を避けている。

9月の利下げはあるか?

現時点では、市場は9月に利下げが実施される可能性が高いと考えている。FOMCは通常、市場を驚かせるような決定は避けるため、仮に9月に利下げが行われるのであれば、その兆候は7月の声明文や記者会見の中に見られる可能性がある。

6月の消費者物価指数(CPI)では、一部の品目で関税に起因すると見られるインフレの兆しが見られた。これはFOMCにとって懸念材料となりうる。しかし、2月以降、インフレ率はおおむね鈍化しており、最新の統計では2025年における雇用市場も引き続き堅調である。

FOMCの当局者たちは、関税が物価を押し上げ、成長を鈍化させる可能性があるとの認識を示しているが、現時点ではデータを注視する姿勢を崩していない。この問題は、今後数カ月のうちに何らかの方向で決着がつく可能性がある。現在のFOMCの基本方針は様子見であり、特に最近の統計で雇用市場が堅調であることから、この姿勢が維持されている。

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翻訳=江津拓哉

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