2025年7月25日発売のForbes JAPAN9月号は「次のバフェット・モデルを探せ」特集だ。一代で1,500億ドルの資産を積み上げたオマハの賢人、ウォーレン・バフェットの引退表明というビッグニュースは、瞬く間に世界中に響きわたった。足元では、トランプ第二次政権の関税政策によって世界経済の不透明感が高まり、景気の先行きが読めない不安相場に。金融マーケットは大きな潮目を迎えた可能性がある。投資家たちはこの変化にどう向き合っていくべきか。有力ファンドマネージャーやトップストラテジスト・アナリスト、株価好調企業の経営トップ、著名な個人投資家、海外著名人らに総力取材。これからの最良の資産運用のあり方を探した。
日本を代表する専業投資家・テスタ。総利益100億円を達成したことで知られる彼だが、意外にも「自分はうまくはない」と語る。その姿勢は、相場への畏れと、地道な反復の賜物だ。投資に特別な才能はいらない。必要なのは、ミスをつぶす自己分析の継続だという。市場の「バグ」に触れ、夢をつかんだ男は、今、次の世代の「ネクストテスタ」の誕生を願っている。
テスタ:投資はスポーツやゲームと同じで、反復と自己分析によって少しずつ上達していくものだと思っている。いきなりうまくなることはない。自分の癖やミスを見つけ、それをひとつずつつぶしていく作業の積み重ねだ。僕はもともとゲームが好きでパチンコにもハマっていた時期もあったが、それらにさえも同様の上達への積み重ねがあった。どんな経験も、真剣に取り組んでいれば無駄にはならない。
投資手法の引き出しは、経験とともに増えていった。スキャルピングに始まり、中長期投資、配当狙い、そしてIPOに至るまで、市場環境や需給状況に応じて、どのスタイルを選ぶかを見極める力が問われる。上昇相場か下落相場か。流動性があるかないか。どの局面で、どの引き出しを開けるかが勝負を分ける。これは経験のなかでつちかわれる。
自身もそうだったが、最初は誰しも自分なりのルールを持つことに傾倒しがちだ。初心者の時はむしろスタイルを固めるべきだ。けれど、それに慣れすぎると変化に対して鈍感になる。だからこそ、今では自らの「型」を狭めすぎないようにしている。固定された投資法は実践しない、その柔軟性は、「柳」のように、思い込みに縛られない投資家としてのスタンスだ。
そのためにも、正しい情報は不可欠だ。かつては新聞がその役目を担っていたが、現代は情報がほぼリアルタイムに入手できるようになった。僕は、情報収集においてはXを活用している。即時性に優れ、検索機能を使えば注目度も測れる。ただし、情報は玉石混交だ。影響力のある発信者が意図的に株価を動かそうとしているケースもあるし、詐欺まがいの情報もある。その真偽を見極めるリテラシーが重要になる。ファクトチェックは自分でやる時代なのだ。そして情報は市場に入ると「多数決」になる。自分がどれだけ安いと思っても、周りが安いと思わない限り株価は上がらない。自分の考えを押しつけず、相場の声を聞いて、流れに沿うことは今でもやっているし、それを無意識でできるのが究極の姿と言える。



