資産運用

2025.07.29 13:30

勝ち続ける「100億男」テスタの思考、投資の極意は「柔軟性」 

テスタ|専業投資家

だからこそ、「一つの正解」を持ちたがる人ほど市場で苦しむ。「正しいと思って全力で買っても、下がるときは下がる」そう割り切り、「下がったときにどうするか」を最初から考えておく。僕は、今でも下がった時のことを考えるし、実際、1銘柄に資金の5%、10%程度しか入れない。株価の下支えが予想されるものであっても、資金を多く入れることはない。それだけ、自信がないのかもしれないが、リスクに備えることが投資の基本姿勢だ。

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自らに問う役割

僕が株式投資を始めたのは2005年、20代前半のころだ。当時は「デイトレード」という言葉が流行していて、書店に行けば関連書籍がずらりと並んでいた。深く考えることもなく、「家にいながら生活できるなら、こんなにいいことはない」と思い、軽い気持ちで始めたのがきっかけだ。

だが、現実は甘くなかった。最初の2カ月は大きくマイナス。3カ月目で月間でプラスに転じ、半年目でようやく生活費を賄える程度になった。専業だったため、収支がマイナスの間は貯金を切り崩す日々。精神的にも追い詰められていた。毎朝トイレで吐いていたほどだ。それでも続けられたのは、やりがいを感じていたからだ。当時はブログの全盛期で、他人のトレード記録を読みながら、自分との違いを分析し、毎日試行錯誤を重ねていた。つらいことも多かったが、つらいからこそ反省し、「明日はもっとうまくなりたい」という気持ちで続けた。

21年に総利益50億円、24年2月に同100億円を達成した。普通に働いていては手にすることができない資産を手にすることができるのも株式市場だ。まさに「バグって」いる。それが社会的に健全かと問われれば、僕自身も疑問がある。投資で得た利益を社会に貢献するために寄付をするのもいいだろう。ただ、投資がポジティブであることは確かだ。

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現在、メディアにも積極的に出るようにしている。かつて株式投資は「怖い」といったイメージで語られることが多く、メディアに登場するのもマネー誌や専門的な番組に限られていた。しかも、難しい言葉が飛び交う。一般の人には近寄りがたい、そうした壁を壊したかった。だからこそ、専門用語をなるべく使わず、バラエティ番組やYouTubeなどにも進んで出るようにしている。投資は本来、もっと身近であっていいはずだ。新NISAの導入などで投資人口が増えつつある今こそ、投資を「普通の選択肢」として社会に根付かせる必要があると思っている。

最後に伝えたいのは、円でお金を持つこと自体が、すでに誰もが投資にかかわっているという事実。だからこそ、自分の資産をどう守り、どう増やすかを真剣に考えるべきだ。

そして、株式市場は夢のある場所だ。特別な才能がなくても、努力と継続次第で大きな成果を得られる可能性がある。だからこそ、一度は挑戦してみる価値があると、僕は信じている。


テスタ◎2005年に元手300万円で専業投資家として活動開始。以後、20年以上一度もマイナスはなくプラスを継続。累計利益は100億円を超える。現在は中長期・高配当銘柄や米国株にも投資。また、全国の児童養護施設へ寄付も継続している。

文=下原一晃 写真=ヤン・ブース

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