グーグルの親会社であるアルファベットは、米国時間7月23日の取引終了後に第2四半期決算を発表した。同決算はウォール街の予想を上回る結果となった。クラウドと検索事業の好調が追い風となり、ブラウザのGoogle Chrome売却を命じられる可能性のある反トラスト訴訟の判決を前に、堅調な成長を示した。
第2四半期におけるアルファベットの売上高は前年同期比14%増の964億ドル(約14兆800億円)、1株あたり利益(EPS)は同22%増の2ドル31セントとなり、ファクトセットによる市場予想(売上高940億ドル、EPS2ドル18セント)をいずれも上回った。
クラウド事業の売上高は136億ドル(約1兆9900億円)で、前年同期比32%増と予想を大きく上回り、最大でも27%の成長を見込んでいた市場の想定を超えるものだった。また、検索事業の売上高は541億ドル(約7兆9000億円)で、これも540億ドル(約7兆8900億円)との予測をわずかに上回った。
今回の発表は、今年初めに発表された第1四半期決算に続く好業績となる。第1四半期では、検索事業が予想を上回る売上を記録し、売上高と利益は前年同期比でそれぞれ12%、49%の成長を達成していた。
しかし、一部のエコノミストは、アルファベット株の見通しに対して慎重な姿勢を示している。2025年8月には、米連邦判事がグーグルの検索エンジン市場における違法な独占に関してどのような是正措置を講じるべきかを判断する見通しであり、それが株価に影響を与える可能性があるためである。米司法省は、グーグルに対してGoogle Chromeの売却や、モバイルOSのAndroidにおける検索機能の大幅な見直しを求めている。一方グーグルは、司法省の提案を「米国人の利益、および米国の世界的な技術的リーダーシップを損なう急進的な介入主義」として非難している。
キャンターフィッツジェラルド証券のアナリストは、反トラスト判決の詳細が明らかになるまでアルファベット株を「中立」評価のままとしている。また、バンク・オブ・アメリカは先週、アルファベットの株価目標を200ドルから210ドルに引き上げたが、「この判決こそが誰もが聞きたい問いであり、現時点でグーグルが答えられない問いである」とコメントしている。
アルファベット株は、2月から4月にかけての急落から持ち直したものの、年初来ではほぼ横ばいで推移し、検索エンジン市場における競争の激化を背景に、他の「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる企業群や、S&P500種株価指数に比べてパフォーマンスが劣後している。
そうした懸念もある一方で、第2四半期を通じて、グーグルは複数のAI関連プロジェクトを展開している。たとえば、アイウェアブランドのワービーパーカーとのスマートグラスの共同開発、AIスタートアップに投資するベンチャーファンドの創設、グーグル検索における「AIモード」の試験運用などが挙げられる。また、今月初めにはOpenAIがChatGPTのクラウドインフラとしてグーグルを新たに採用したことも明らかになった。加えて、傘下の自動運転企業であるウェイモはニューヨークへの事業展開を予定している。
23日にはテスラも同様に決算を発表し、この2社がマグニフィセント・セブンの中では最初に第2四半期決算を開示した企業群となった。メタとマイクロソフトは米国時間7月30日、アマゾンとアップルは7月31日、そしてエヌビディアは8月27日にそれぞれ決算発表を予定している。ファクトセットの集計によれば、第2四半期におけるこれらの企業の合計利益成長率は14%になると見込まれている。



