──ストラテジー社と比較して、メタプラネットにはどのような独自性があるのか。暗号資産のなかでもビットコインだけに集中する理由は。
ゲロヴィッチ:私たちは日本に根ざしたまったく新しいモデルを構築している。日本の規制、税制、資本市場に適合する構造を設計しており、例えばNISA(少額投資非課税制度)に適格なビットコインエクスポージャーの創出、米国のATM(アット・ザ・マーケット)プログラムに類似したMSワラント(行使価額修正条項付き新株予約権)の導入など、先進的な取り組みを進めている。
そして「ビットコインのみ」にこだわるのは理念に基づいている。ビットコインは、絶対的な希少性・完全な分散性・グローバルな中立性をもつ唯一の資産だ。アルトコイン(ビットコイン以外の暗号資産)は代替になりえない。それらは通貨ではなく、投機的なテクノロジーだ。私たちは時を超えて積み上がっていくビットコイン資産を構築し、長期資本を引き寄せる存在でありたい。
──6月にBTC保有目標を上方修正する「555ミリオン計画」を発表した。なぜ今、取り組みを加速させるのか。
ゲロヴィッチ:カギとなるのは「時間」だ。ビットコインの供給が限られているなか、各国政府の準備金としての採用は加速しており、機関投資家の本格的な資金流入もまだ始まったばかりだ。波が来てから乗るのではなく、波が来る前にポジションを取るのが私たちのスタンスだ。
「555ミリオン計画」は、私たちのスケール、野心、明確な目標を示すものだ。27年末までに21万BTCの保有を目指している。これはビットコインの総供給量の1%、そして世界最大級の企業保有量となる規模だ。今後数年間が勝負の分かれ目だ。今動くことで、爆発的な株主価値を生み出し、アジアの「ビットコイン・ゲートウェイ」というポジションを確立できると確信している。
──リスクについてどう考えているのか。
ゲロヴィッチ:ビットコインは価格変動が激しいといわれるが、テック株などの上場企業の株価ほどではない。ハッキングについても、ビットコインは分散化が進んでいるためほぼ不可能になっている。過去の事例も(安全管理者の)人為上のミスだ。
──ビットコイン保有以外の事業の中長期的な経営方針は。
ゲロヴィッチ:現在保有しているホテルを「ザ・ビットコインホテル」に改修し、「ビットコイン・マガジン・ジャパン」の独占ライセンスを取得した。今後はさらにビットコインについての啓蒙を進めていきたい。何よりも、私たちは「BTCイールド」という、一株当たりのビットコイン保有量の変化率を重要な経営指標としている(25年6月末時点の年初来BTCイールドは348.8%)。これを高めることが株主への価値提供だと考えている。
サイモン・ゲロヴィッチ◎1977年生まれ。ハーバード大学卒。2000年にゴールドマン・サックス証券に入社。レッドプラネットホテルズ会長を務めた後、13年に現メタプラネットの取締役に就任。15年10月に会長、22年3月に代表取締役社長に就任。


