小型・長距離USVの可能性
比較的大型のUSVが海上目標やさらに遠方の沿岸目標を攻撃してきたのに対して、ウルスラは河川での戦いでの使用が想定されているようだ。FPVドローンを隠密に攻撃地点に移動させ、水辺から数km以上離れた敵部隊に対して攻撃を仕掛けられるようになれば、戦闘に新たな次元が開かれることになる。
将来的に、こうした「ミニ空母」は、より長距離、さらには超長距離の攻撃任務にも対応できるようになる可能性がある。すでに存在している小型USVのなかには、バッテリーに依存せず、周囲の環境からエネルギーを得ることで、実質的に無制限の航続距離を持つものもある。
米海軍が運用する「ウェーブグライダー(Wave Glider)」はその一例だ。サーフボードぐらいの大きさのこの艇は、その名のとおり波の力を利用して前進し、ソーラーパネルで発電して電子機器を動かす。開発元の米リキッド・ロボティクス(Liquid Robotics)社は2011年、ウェーブグライダー艇隊を太平洋横断任務に送り込み、数カ月にわたる長期任務を遂行する能力を実証してみせた。ロシアは2016年にこの設計を模倣したとみられ、ほかの国々も追随している可能性がある。
もうひとつの例は「セイルドローン(Saildrone)」で、こちらは風力を動力とし、ハリケーンの目を通過できるほど頑丈とされる。米海軍も、極度の耐久性が求められるさまざまな任務向けにこのUSVを試験している。ウェーブグライダーと同様にセイルドローンも海洋横断任務をこなしている。
こうした艇は高速ではないものの、従来型に比べると安価で見つかりにくく、世界中の海洋をカバーできる可能性もある。また、海岸沿いや河川、デルタ地帯、湿地帯などに潜入して待機し、「クモの巣作戦」型のドローン奇襲を仕掛けるといった運用も考えられる。
一方、空母の乗組員は警戒を強める必要があるかもしれない。FPVドローン1機の攻撃で艦載機は撃破され得るし、攻撃してくる無人機や無人艇の95%を排除できても不十分なこともある。
もともとはホビー用だったドローンが地上戦を支配し始めたように、“お風呂のおもちゃ”のような無人ボートも水上戦で驚くほど重要な存在になるかもしれない。


