対立は往々にして親密さにとっての脅威とみなされ、何かが根本的に間違っていることを示すものとなる。だが、現実には対立には微妙な側面がある。関係を健全なものにするために努力を重ねてきた一部のカップルにとっては、口論は感情面での親密さを深めるプロセスの一部となる。
建設的に管理されれば、対立は成長や理解、安定型の愛着スタイル(人間関係の築き方の傾向)になる。これが「対立のパラドックス」だ。あるカップルは口論をするが、その結果、それまで以上に親密になることが多い。
これは頻繁な激しい対立が当たり前になり、その後に絆を感じることとは違う。望んでいなかった対立にもかかわらず、絆がしっかりと深まり、関係を第一に考えることを意味する。
対立はするが、その後、親密さが増すと言うカップルがいる。その心理学的な理由を3つ紹介しよう。
1. 対立は感情を再調整するプロセスと認識
ズレは避けられない。感情面でのニーズは変化し、期待は移り変わる。その結果、解消されない緊張が時間とともに静かに蓄積していくことがある。対立しているときでも、気兼ねなく不満を示すことができると感じているカップルは、感情を再調整していることが多い。
恋愛関係における対立と和解に関する研究によると、心の痛みは対立を永続させる防衛的な反応か、癒しを促進する妥当性と親切な行為に向けた、より意図的な反応のどちらかを引き起こす傾向がある。
この枠組みでは、対立は本質的に破壊的なものではない。むしろ、心の痛みに適応する反応であり、関係のどこかに対処や再構築が必要な部分があることを示している。
このような状況で、唯一の懸念はこうした対立が必ずしもはっきりしたものとは限らないということだ。不満や皮肉、あるいは防御として現れるかもしれない。このため、たとえ難しくてもあなたがパートナーとの関係をどれほど大切に思っているかを思い出し、表面下にあるものに目をやるよう努めなければならない。そこには「違った風に私を見てほしい」といったメッセージが隠されている。これは、意見の相違にかかわらず、共感と気遣いを求めているのだ。
感情面で健全なカップルは、意見の相違を関係の破綻と解釈するのではなく、対立を手がかりに役割を再び話し合い、ニーズを明確にする。そして、相手の内面についての理解を新たにする。
こうすることで、口論は機能不全というよりも、関係のどこを修復または再構築すべきなのかを明らかにする材料となる。



