2. 関係を崩壊させることなく対立を「封じ込める」
関係において感情面で回復力のあるカップルの特徴は、対立を「封じ込める」能力、つまり関係に亀裂を入れることなく激しい感情をやり過ごす能力にある。この「封じ込め」によって、カップルは侮蔑や無視、自分の殻への閉じこもりといった破壊的なパターンに陥ることなく、怒りや不満、傷心を表すことができる。
たとえ激高するような瞬間であっても、互いの境界線は尊重され続けるため、関係の根底が覆されることはない。
一緒に暮らす100組のカップルを対象とした2015年の研究では、愛着スタイルが安定型のカップルほど対立後に感情をうまく回復させられることが明らかになった。そうしたカップルは翌日の気分や親密さ、満足感が大きく影響を受けなかったと回答した。つまり、関係が不安定になることなく気持ちの緊張を一定に抑えることができた。
対照的に、愛着スタイルが不安型のカップルは感情面で著しい落ち込みを経験した。これは絆の強さの認知が、対立後の関係修復に重要な役割を果たすことを示している。
崩壊することなく対立を「維持する」能力は、深い信頼を反映している。関係が壊れることなく伸びるという確信は、本質的に区別(意見の相違にもかかわらず気持ちを寄せ続ける能力)と崩壊(対立が絆そのものへの脅威となる)の違いを示す。
しかし肝心なのは、カップルが感情面で安全と感じられる範囲内で言い争うとき、傷つくことを恐れないということだ。お互いが元に戻れると信じており、それがすべての違いを生む。
3. 対立は弱さを明らかにし、その対処の仕方が親密さを深める
一部のケースでは、喧嘩の内容よりもそれぞれの感情を明らかにすることが重要だ。怒りや引きこもり、防衛的な態度は見捨てられることへの恐れや満たされていないニーズ、長年の満足のいかない思いなど、心の奥底にある葛藤を覆い隠し、保護層として機能することが多い。
対立を通して仲が深まるカップルはたいてい、目にする行動にのみ反応するのではなく、そうした行動の根底にある弱さに向き合うことができる、あるいは向き合おうとする意思のある人たちだ。
カップルの片方が「あなたは私の話を聞かない」と言うとき、本当は「自分は注意を払われていない」と言っているのかもしれない。また、口を閉ざすのは間違ったことを言ってしまうのではないかと恐れているからかもしれない。
このような感情のシグナルをキャッチできる人は、表面的な言い争いの根底に隠れている感情に反応する。これにより互いの内面的な経験を認め合い、たとえ対立しているときでも自分に注意が払われ、話を聞いてもらい、感情を受け止めてもらえるという感覚が強まり、親密さが増す。
研究がこれを裏付けている。専門誌『Journal of Family Psychology(ジャーナル・オブ・ファミリー・サイコロジー)』に2021年に掲載された研究で、パートナーが直接関わるような弱さを分かち合うとき、そのパートナーが思いやりを持ち、力を貸さない限り、人は相手に感情面で支えられているとさほど感じないことが明らかになった。
カップルの双方に思いやりがある場合、厳しい会話の最中でも互いにずっと協力的だった。これらの発見は、弱さは親密さを深める可能性があるが、それは互いに寄り添い、心を開き、相手を気遣わなければならないことを示唆している。


