ニューホライズンズが近接撮影するまで冥王星は、氷に覆われた不活性な天体と考えられていた。しかし、ニューホライズンズがもたらしたデータによって、内部海(地表の下に広がる海)の存在が示唆されるとともに、窒素の氷による対流、氷河の移動、氷火山などによる活発な地質活動があることが判明。窒素を主成分とする大気にメタンと一酸化炭素が含まれることを明らかにするとともに、高度200kmまで分布するその大気が散乱する様子(ヘイズ層)を観測した。
冥王星に最接近した12分後には、その衛星カロンでもフライバイを行い、深さ9kmの峡谷やバルカン平原など多様な地形を観測した。さらに、冥王星とカロンが共通の重心を中心に回転する連星系であることを確認。その重心が冥王星の外側960kmにあり、両天体が6.4日の周期で同期回転していることを明らかにした。こうして得られた冥王星系のデータセットは、2kbps(2キロビット毎秒)の転送速度で15カ月以上かけてダウンロードされた。


