暗号資産

2025.07.24 13:00

ビットコインを売らずに資金調達、「暗号資産担保ローン」という選択肢

Shutterstock.com

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ビットコインの価格は、7月に2度の史上最高値を更新した後に、10万ドル(約1450万円。1ドル=145円換算)を大きく超える水準を維持している。ビットコイン支持者の間では、マイクロストラテジー(現ストラテジー)の共同創業者、マイケル・セイラーが広めた言葉の「決してビットコインを売るな(never sell your bitcoin)」という戦略が標語のようになっており、長期保有のほうが短期で売買するよりも一貫して好成績を上げている。

しかし、無期限に保有し続けることには課題がある。人生には限りがあり、経済的な目標は待ってはくれない。そこで、ビットコインを売らずに値上がりの恩恵を享受しようとする人々の間で注目されているのが、ビットコイン担保ローン(暗号資産担保ローン、デジタルアセット担保ローン)という手段だ。

伝統的な銀行が高金利や悪化する融資条件に苦しむ中で、暗号資産の世界では仲介者を排して迅速な取引を実現する代替融資システムが形成されつつある。7月中旬にコインベースは、自社プラットフォーム上でのビットコイン担保ローンの累計担保額が10億ドル(約1450億円)を超えたと発表し、暗号資産が金融サービスの中に浸透しつつあることを見せつけた。

ビットコインを担保に借り入れる:富裕層の資本戦略がデジタル化

株式や不動産といった資産を担保に借り入れを行うという発想は、昔から存在してきた。EquiLend Data & Analyticsのデータによると、2025年4月の1カ月間に世界の証券金融業界が貸し手にもたらした収益は8億5600万ドル(約1241億円)に達しており、このような手法は、資産を保持しながら税負担を抑えるために長年活用されてきた。では、個人投資家が暗号資産においても同様のアプローチを取り、資産を一切手放さずにビットコイン担保ローンで生計を立てることは可能なのだろうか。

カストディ型と非カストディ型

ビットコイン担保ローンを利用する方法は大きく分けて2つある。カストディ型のサービス(資産の管理を第三者に委ねる方式)と、非カストディ型のDeFi(分散型金融)のプロトコルを用いる手法だ。

初心者にも扱いやすいカストディ型

カストディ型サービスは、ユーザーにとって使いやすく、初心者にも魅力的だ。しかし重要な欠点がある。この方法では、投資家が自分の資産を本当の意味で管理していないという点だ。この分野で先行したBlockFiやCelsiusなどは一時は成功したが、リスク管理の甘さから破綻し、顧客は資金を引き出せなくなった。「Not your keys, not your coins(鍵の所有者こそが、コインの所有者である)」という古くからの格言は今でも通用する。

自分の秘密鍵の所有権を維持し管理する、非カストディ型

一方、非カストディ型の貸付プロトコルでは、ユーザーが自分の秘密鍵の所有権を維持したまま、スマートコントラクトを通じて流動性へのアクセスを得ることができる。

DefiLlamaのデータによると、非カストディ型の貸付ソリューションの中では、Aaveプロトコルが明確なリーダー的存在であり、ロックされた総価値(TVL=ユーザーが担保や貸付のために預け入れている暗号資産の総額を意味する)は約332億ドル(約4.8兆円)に達している。

Aaveを利用するうえでの大きな懸念のひとつは、ビットコインそのものではなく、ビットコインに1対1で連動するラップド・ビットコイン(wrapped bitcoin)を使用しなければならない点だ。ここでは、最も広く知られているが依然として議論の的となっているWBTCと、コインベースが発行するcbBTCのいずれかを使う必要があるが、これにより、ペッグ(連動)の崩壊リスクやカウンターパーティリスクといった追加的な脆弱性が伴うことになる。

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編集=上田裕資

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