清算を避けつつビットコインを担保として使うには
たとえばビットコインをラップド資産であるcbBTCに変換し、それをAaveプロトコルに預け入れると、ユーザーはステーブルコインのUSDCなどの資産を借りることができる。ここで重要なのは、どれだけ借りるか、そして何より「どの時点で借りるのをやめるか」を見極めることだ。
Aaveでは、借入リスクを管理するために2つの主要な指標が使われている。ひとつはLTV(Loan-to-Value:担保に対する借入比率)という指標で、これは担保の現在価値に対してどの程度まで借り入れ可能かを示す。たとえば、cbBTCの評価額が10万ドル(約1450万円)で、LTVが75%であれば、ユーザーは最大7万5000ドル(約1088万円)のUSDCを借りることができる。
担保価値の25%から33%程度の範囲にとどめて借りる
しかし、ビットコインの価格が少しでも下がれば清算(liquidation)が発動し、5%のペナルティが課される可能性がある。ビットコインは値動きが激しいため、清算を避けるには担保価値の25%から33%程度の範囲にとどめて借りるのが安全とされている。つまり、ビットコイン1枚を預けた場合、現実的には2万5000ドル(約363万円)程度のUSDCを借りるのが妥当ということになる。ちなみに執筆時点でのAaveにおけるUSDCの借入金利は約5%だった。
仮に投資家が、理想とする生活を維持するために年間12万ドル(約1740万円)を必要としているとする。その金額をLTV25%のビットコイン担保ローンで得るには、担保として48万ドル(約6960万円)相当、つまり市場価格が11万5000ドル(約1668万円)の場合ビットコイン約4.17BTCが必要になる。
CNBCのインタビューで、セイラーはビットコインの価格が今後20年間、年平均30%のペースで成長すると予測していた。もしこの予測が的中すれば、理論的にはこのローンを返済する必要はない。金利は年間わずか5%程度で、ビットコインの値上がりにより担保の価値が増していくことで、ユーザーは毎年12万ドル(約1740万円)を追加で借り続けることが可能になるという計算だ。
ビットコインの価格変動が依然として重大なリスク
しかし、ビットコインのボラティリティ(価格変動)は依然として重大なリスクだ。価格が横ばいになったり大幅に下落したりすれば、清算リスクは深刻になる。実際、2022年11月から2022年1月にかけての長期下落局面では、ビットコインは約6万4000ドル(約928万円)から約1万6000ドル(約232万円)へと、約75%も下落した。このような状況では、上記のローンはおそらく清算されていただろう。


