伴星発見の決め手となったのは、ジェミニ北望遠鏡のアロペケ撮像装置だ。ハウエルは「高い角度分解能とシャープなコントラストを実現するジェミニ北の能力により、ベテルギウスの伴星の直接検出が可能になった」として「ベテルギウスが伴星を持つと予測した論文では、誰もそれを撮像することなどできるわけがないと見られていた」と述べている。
なぜベテルギウスは特別か
ベテルギウスは特別な恒星だ。星としての一生の最期が近い赤色超巨星の典型例であり、外層大気が膨張している時期にある。超巨星の外層大気の内部を公転している伴星の直接観測に成功したのは今回が初めてだ。ベテルギウスと同時期に誕生した可能性が高いこの伴星は今後1万年以内に、強力な潮汐力によってベテルギウスに向かって螺旋状に落下して飲み込まれると考えられている。
2027年11月には、伴星がベテルギウスから最も遠く離れた位置にくることで、さらなる観測と分析のための最高の機会が得られるため、天文学者はそれに向けた準備をすでに進めている。


