日本の株式市場は今、とてもシンプルに語ることができます。リスク1で考慮しなければならないのが自社株買いを含めた「株主還元」だけだからです。これは需給面で株価に直接的な影響を与える要素で、アクティビストも注目する指標になるためです。地政学的リスクなど日本株には存在しないし、日本企業のガバナンスはこの数年で大転換してきました。それを評価して外国人投資家は日本株を買っているので、業績を評価して買っているとは思えない。私はこの点について楽観的です。自社株買いは高水準でもバランスシートに無理な負担をかけているわけではなく、継続可能なレベルで行われていますから。
また、アクティビスト・ファンドのパフォーマンスも良好で日本企業への積極的な取り組みも減らないことから、上場企業は株主への対応を迫られることになるでしょう。これは私のメインシナリオではないですが、万が一自社株買いが大きく減速すれば外国人投資家は日本株を売るでしょうね。日経225が1万円程度下がっても不思議ではないです。
繰り返しますが、ここで語っているのはリスク1だけ。リスク2や3のような予測不能な事象が現実に起きうる以上、高値圏にある日本株や米国株はリスクに対して脆弱です。今後も今年の4月や去年の8月のような暴落は十分ありえますが、日本株については今のような高水準の自社株買いが続いている限り、相場には復元力があり心配は無用。暴落したとき、株を売るのは最も愚かな行為となるでしょう。
より長期的なスパン、例えば今後5年間の予想では、私はさらに楽観的です。
というのも、今足元で持ち合い解消の売りが加速しているからです。特に生損保は急いでいるように見えます。生損保の解消売りはあと2年でほぼ終わり、メガバンクも4年でほぼ終わる。そのとき、自社株買いが今の水準で維持されていれば需給は好転します。「日本株ショーテッジ(株式の希少性向上)」の時代が到来し、次の上昇局面に入っていくことが想像できます。
──清原さんは「割安小型成長株」への集中投資という投資スタイルです。同類の戦略を立てるファンドも少なくないなか、なぜ清原さんのK1ファンドは突出した成績を収めることができたのでしょうか。
清原:私の運用方法でほかの投資家と大きく違う点は流動性リスクに対する考え方です。私が正しかったと主張するつもりはなく、運が良かっただけなのかもしれませんが。小型株はその流動性の低さのため、大量に買うと買値は上がり、売ると大きく下がります。発行済み株式数の3%以上を買うと機関投資家は大きいリスクをとっていると感じます。ファンドが解約されると売らなければいけなくなるからです。10%も買ってその会社が成長株でないことがわかって投げ売ったら大損害です。
しかし30%買ったらどうでしょう。買われた会社はとても不安になり、買われた株を買い戻そうとします。つまり保有株が増えれば増えるほど自社株買いの可能性が高まり、流動性リスクが減るということです。しかし企業に自社株買いが出来る十分な現金がなければこの戦略は通用しません。それが、私が企業の「ネットキャッシュ比率」を重視している理由です。


