2025年7月25日発売のForbes JAPAN9月号の第二特集は、世界を変える30歳未満30人「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」特集との連動企画「私が15歳だったころ」。これまでの受賞者のなかから、Homedoor 理事長の川口加奈、 芦屋市長の髙島崚輔、dely 代表取締役の堀江裕介の3人に 15歳のころに経験した、人生のターニングポイントとなった出来事を聞いた。
「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」連動企画、受賞者たちの「15歳のころ」。歴代市長最年少で当選した芦屋市長の人生を変えた瞬間とは。
今の公職選挙法における歴代市長のなかで、最年少26歳で市長に当選した記録をもつ、兵庫県芦屋市長の髙島崚輔。当選から2年がたち、日々山積する課題に取り組む彼には、人生を決定的に変えた瞬間がある。それは15歳の時だった。「初めて東北に行ったのが15歳の夏でした」
その前の年、東日本大震災が起きた。見たこともない規模の津波が押し寄せ、数多の人命を奪い、街をのみ込んだ。そして史上最悪といわれる原発事故。遠く離れた関西の地で髙島は、その惨状をメディアで追い続けるしかなかった。
灘中学・高校(神戸市東灘区)に通った彼は、中学生のころからラグビーの部活に明け暮れる傍ら生徒会に属し、毎日を充実させていた。摩擦や葛藤もあったが、一つひとつ、思いを実現させていく日々を送り、友とたくさんの思い出をつくった。「でも」と髙島は言う。
「でも、自分は学校と自宅とを往復するだけでした。『その往復の日々から外に飛び出てみよう』と思ったきっかけが、3・11だった」
自分にできることが何か、わからない。できることなど何もないかもしれない。でも──。同じ思いを抱える仲間と話し合いを重ね、かの地の被災者の声を聞き、被災地の今を知るべく旅に出た。宮城県南三陸町、女川町、福島県相馬市。そこで彼は、復興に立ち向かう同年齢の若者に出会った。
「故郷のために何ができるか、たえず考えながら動く人に出会ったんです。自分はそんなふうに街を見渡したことはなかった。復興のため今できることを模索する姿が目に焼き付きました」
学校に戻り、生徒会長に就任した髙島は、地域の小学校と交流授業を展開したり、まちの人々とスポーツイベントを開催したりして、まちの人との協働に奔走した。このタイミングで現在、彼が市政を担う芦屋との繋がりが生まれた。
話し合うプロセスが大切な経験に
その後、東京大学文科一類と、ハーバード大学の両方に合格。彼は4カ月間、東京で東大生活を送ったのち、米国へ渡る。公共政策や環境エネルギー工学を学び、2022年にハーバードを卒業後、芦屋に移り住み23年、市長の職に就く。そのパワフルな機動力に、何が彼を動かしているのか聞くと、彼は笑顔でこう語ってくれた。



