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2025.07.26 15:00

【私が15歳だったころ】東北の旅で見た「ホワイトボード」、髙島崚輔が課題解決方法を知った体験

髙島崚輔|芦屋市長

「自分の思い描いたことがうまくいった嬉しさよりも、『どうしたらうまくいくかな』って考えるプロセスのほうが楽しいんですよね。それは生徒会の文化祭の時から同じで、準備するプロセスが楽しかった」髙島は今、市内の公立学校を周って小中学生と対話する機会をつくっている。一緒に給食を食べながら話す時、心に決めていることがある。

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「『彼らのことを15歳と思わない』ことを大事にしています。15歳と思って話し始めたらその子の可能性を過小評価することにつながると思うんです。その子のありのままに向き合うことを、まず大事にしたい」

学校の校則がおかしい、体育館が暑すぎてスポーツに集中できない。彼らからの声を汲み取った髙島は、「トップダウン」で物事を決めるのではなく、まず教員と生徒との話し合いの場を設ける提案をした。「3カ月後『実際に校則が変わりました』と連絡を受けました。その生徒にとっては、直談判して市長に変えてもらうことより『自分たちで学校と話し合って変わった』という成功体験のほうがはるかに大きいのでは」

おかしいと思ったら、社会のルールは、自分たちで変えられる。15歳の彼らが実践してくれたことが、髙島には何よりも嬉しかった。成功体験の「成功」の定義は難しいが、髙島は「じっくり話し合う」プロセスが大切な経験に繋がったのでは、と語る。じつは髙島自身もそうだった。ターニングポイントを迎えるたび、家族は「家族会議」を開いてくれ、自分の思いに真摯に向き合った。大人が耳を澄ませ、思いを汲み取る。「過程」自体に、意義を見いだす原点が培われた。

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市長に当選してから最初に買った備品がある。それは「ホワイトボード」だ。

「15歳の旅で福島県の相馬市役所を訪れた時、発災当時のタイムラインが書き残されたホワイトボードを目の当たりにしました。『2階建てすべて倒壊』『〇人孤立』『〇〇に消防出動』『まもなく鎮火』……、それが強烈に印象に残っているんです」

今すべきことが刻一刻と変わるなか、たとえ電源喪失の緊急時にも役立つホワイトボード。「プロセスをじっくり見つめ、重視する」髙島ならではの発想だ。


たかしま・りょうすけ◎1997年生まれ。灘中学・高校卒業後、2015年、東京大学入学、中退。同年9月ハーバード大学に入学し、合計3年の休学で世界の街づくりを見て回る。19年芦屋市役所でインターンシップ。22年、ハーバード大学環境工学専攻卒。23年4月の芦屋市長選挙で歴代市長の中で最年少の当選者となり、23年5月から現職。

文=加賀直樹 写真=干田哲平

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